2023-10-13
発心の道場こと徳島県最後の札所『薬王寺』まで駆け抜けます。徳島の札所を回り切るのに今日を含めて6日間かかりましたね。体感ではたったの6日!?という気持ち。どう考えてもそれ以上の時間を過ごした気がします。お遍路をやると一日の密度が高くて驚きますね(。◔‸◔。)
サムネの構図が昨日と同じなのが気になります。
那賀川河原での目覚め。
道の駅鷲の里そばの河原からおはようございます。昨日でお遍路も20番台へ突入。これで八十八ヶ所巡りの1/4が終了しました。
そして徳島県こと発心の道場の札所は二十三番までですからあと二つ回ればコンプリート。徳島編もおそらく本日がラストでしょう。
天気は快晴。さっそく次の札所に向かいましょう。
太龍寺の次は二十二番札所『平等寺』。ここからは距離13kmで獲得標高は100mほどのキツくも楽でもない普通の道です。
国道195号線をサイクリング。途中で県道284号線に折れてまったり3kmの道を行きます。
【二十二番札所】白水山『平等寺』
のどかな田園風景が広がってきました。田んぼと民家がぽつぽつと並ぶ中に
山門
ヌッと現れたのが二十二番札所『平等寺』です。
本堂はまた少し高いところにあります。
オシャレ手水舎で手を清めます。夏の様な陽射しですね今日。
ああ!?
六地蔵があるじゃないですか! いや、でも、どうせ……
いやいやガッツリ足でてるよ!
久しぶりに一体がガッツリ足を出している六地蔵を拝みました。お地蔵さんが六体並んだ六地蔵は色んな所で見られますがこれほど分かりやすく一体が足を出したものは中々見られません。
何の話かといいますと長い話になるんですけどーー
六地蔵と六道輪廻
お地蔵さんって道を歩いているといくらでも目にする機会のあるなじみ深い存在ですよね。このお地蔵さんは正確には地蔵菩薩といって菩薩なのです。
仏様にも階位がありまして、トップが如来です。如来は悟りを開いた仏の事ですね。
その次が菩薩で、地蔵菩薩はこの階位。菩薩は悟りを開いて如来になろうとしている存在でいわば修行中の身です。
ゴータマ・ブッダが悟りを開き釈迦如来となりましたが、釈迦如来は既に入滅しています。その次に悟りを開くとされているのが弥勒菩薩なのですが、十四番札所『常楽寺』でも触れたように弥勒菩薩が悟りを開き衆生救済をするのは56億7千万年後です。
つまり釈迦如来が入滅して、弥勒菩薩が下生するまでの期間、現世は仏不在になってしまうんですよね。菩薩のジレンマとでもいうべきか、衆生救済のために修行をしているのに、修行中ゆえに人を救えないという。そこで
「じゃあその間は俺が衆生救いますよ!」
と立ち上がったのが地蔵菩薩です。修業中だけど自分が悟りを開くよりもまず現在(いま)の衆生を救いてえ!って、ありがたすぎるでしょう。
じゃあ地蔵菩薩が何から人を救うのかというと、それが六道。六道とは衆生が転生する六つの世界の事で天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道の六つがあります。最も楽しみの多いとされる天道でも苦しみはゼロではありません。地蔵菩薩はこの六つの世界すべてに現れて衆生を救います。だから六地蔵なのです。
この六地蔵の像でめっちゃ興味深いポイントが地獄道担当のお地蔵さんだけ片足が出ているんですよね。なぜかって
地獄道はマジでヤバいから一刻も早く救い出さねえと!
ということでもう半分駆けだしているからです。これフライングスタートの図なんですよね。めちゃくちゃ面白くないですか。
六地蔵は本当に至る所で見ることができますけど、なかなか地獄道担当のお地蔵さんが片足出していないんですよね。だから平等寺の六地蔵を見てテンション上がってしまいました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
本堂
本尊:薬師如来
真言:おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
六地蔵でほぼ満足してしまっていますがまだ本堂もお参りしていません。
平等寺の本尊である薬師如来は薬師瑠璃光王如来といいます。瑠璃光とは東の彼方にある薬師如来の住む浄土。浄土というと極楽浄土が思い浮かびますが、実際には如来の数だけ浄土も存在するとされています。瑠璃光は東にあり、太陽が昇る方角と同じという事で日本人に好まれ、多くのお寺が本尊としました。四国霊場で最も多い本尊が薬師如来という事からもその人気が伺えます。
本尊の写真をネットに上げるのは気乗りしないので、本堂ではいつも伏し目がちな構図の写真ばかりですがこの平等寺は
https://byodoji.jp/live本堂の様子が24時間ライブ配信されています。
時代に合わせた信仰の形を模索している努力を感じますね。国上寺を思い出しました。
長い階段を再び下って大師堂へ。
手すりに五色の綱が巻き付いているのが見えると思うんですけど、これは階段が登れない人も薬師如来と結縁できるようにと本尊の御手から繋がっているようです。
大師堂
弘法大師がこの地を訪れ禅定に入られた際、清らかな水を得ようと井戸を掘ると白い水が湧き出たので、この地が修行に適した所だと感じしばらく滞在しました。ある時大師が瞑想にふけっていると五色の雲がたなびいて薬師如来が姿を現しました。その姿を手本に大師は薬師如来像を刻み、堂宇に安置。白い水が湧いたことから山号を白水山。「誰もが分け隔てなく救われるように」と寺号を平等寺と定めました。
寺は大規模に栄えましたが、いつもの天正の兵火で何かしらの被害を受けたっぽい。当時は山岳寺院だったようですが今はそれらが無いので被害を受けたっぽいです(あやふや)。
大師が彫った井戸は本堂前の階段横にありました。井戸に張られた五色幕が伝説の再現のようで良いですね。
納経所
納経も忘れずに(。◔‸◔。)
NEXT☞ 二十三番札所『薬王寺』
次の札所までの距離:約19.7km
移動時間(徒歩):約5時間30分
【二十三番札所】医王山『薬王寺』
平等寺から薬王寺までは国道55号線方面の山道を行きます。距離も20kmほど。少し長めのライドになります。
道合ってる?
山方面というだけあって登坂は避けられません。
出ましたね道案内のブルーライン! しまなみ海道から四国に入る時に飽きるほど見ましたよ。
途中コンビニで昼食を済ませて大体2時間半で薬王寺に到着です。
山門
ついに来ましたか二十三番札所『薬王寺』!
ここは徳島県、発心の道場最後の札所。ここを打ったら次はもう高知県というわけです(▼∀▼)
四国霊場の札所という以外にも、厄除けの寺院として全国的に有名な薬王寺。厄除薬師如来を本尊とします。今日は薬師如来の日ですね。
手水舎は「これが手水舎?」という見た目。ここで合っているんですかね? 迷った時はーー
畑美枝子氏の柄杓があればそこは手水舎です。綺麗で新しいので贔屓にしている柄杓。たぶん全札所に奉納されたのでしょう。いつもありがたく使わせていただいています。
本堂に向かうまでには33段の女厄坂と42段の男厄坂を上ります。これはそれぞれ女と男の厄年を現しており、各石段の下には『薬師本願経』の経文が書かれた小石が埋め込まれているんですって。というか切幡寺にも同じのありましたけどあれももしかして同じ段数だった!?
階段に賽銭が落ちているのも一緒ですね。
石段を厄年の男女が織るように上下しており登るものは一段のぼるごとに一枚ずつ一円アルミ硬貨を落としていく
司馬遼太郎著「空海の風景」
この一円玉はそういう事!?
十番札所で疑問に思っていたことが二十三番札所で明らかになるとは……。
登り終わったかと思ったら香炉と臼がありました。この石臼は中に入れてある香を真言を唱えながら杵で自分の年の数だけつけば身・口・意の三業の罪悪を滅し、無病延命が叶うと言われています。
本堂まではもうひと踏ん張りです。
本堂
本尊:厄除薬師如来
真言:おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
「発心の道場」最後の霊場である薬王寺。縁起は聖武天皇の勅願によって行基菩薩が開いたといういつものパターンです。
本尊は厄除薬師如来坐像。
1188年に火災が起こり諸堂を焼失しましたが、本尊は光を放ちながら飛び去り奥の院・玉厨子山に自ら避難したといいます。後に後嵯峨天皇が伽藍を再建し、新しい薬師如来像を祀ったところ、避難した本尊が再び光を放って戻り後ろ向きに厨子に戻ったとのこと。なので薬王寺には前向きと後ろ向き二体の本尊が安置されています。
寺のエピソード、たまに笑わせようとしてるやつありません?
光のエフェクトの描写でダメでした。あと伝説に対してマジでこんなツッコミ無粋なんですけど「厄除けじゃなくて厄”避け”じゃん」は言いたかった……。
大師堂
次はお隣の大師堂へ。
行基菩薩による寺の開基後は、弘法大師によって本尊の厄除薬師如来が刻まれ、厄除けの根本祈願寺となりました。この時、大師は42歳。自信の厄と衆生の厄除けを祈願して本尊を彫造したといいます。
さて本堂も大師堂も参拝しましたが、気になるのは赤い塔。これは瑜祇塔と呼ばれるものです。
瑜祇塔まではまた厄坂を上ります。今度の厄坂の段数は61段。61は男女共通の厄年です。
瑜祇塔は真言密教の重要な経典である瑜祇経の教理を形に表したものです。経文には「世の中のものはみな二つの相反したものでできているが、これが一つになることで平和や幸福の基礎となる」と説かれています。その「不二」を表している建物らしいのですがどの部分がそれを表現しているのか理解ができませんでした。勉強が足りない。
瑜祇塔からの眺めは絶景です。美波の街に、日和佐川とそれが流れ出る太平洋が綺麗ですね。
今日野宿する予定の道の駅日和佐も良く見えます。思ったより活気があって人通りが多そうですね。少し困ります。
町を俯瞰して楽しむのもほどほどに納経所へ参りますか。
納経所
納経所は仁王門の隣。
いつも「本堂」「大師堂」「納経所」などの案内板を持っている坊主が手ぶらでした。この案内坊主、目がキマってて怖いんですよね。
NEXT☞ 二十四番札所『最御崎寺』(高知県)
次の札所までの距離:約75.4km
移動時間(徒歩):約22時間分
ありがたいお接待を頂きました
日が暮れて薬王寺。瑜祇塔はライトアップまでされるんですね。綺麗。
道の駅日和佐は野宿に最適な東屋があるにはあるのですが、国道55号線沿いという事もあって人通りが多く、もう少し夜が更けないと人目につきますね。
反対車線のファミマにイートインがあるのでホットスナックで小腹を満たしつつ納札を記入しておきます。書いても書いても終わらない。マジでもう自分の氏名住所を書くのが嫌です。゚(゚^ω^゚)゚。
18時半ごろ、再び道の駅へ。気分的にはもう寝たいところですが今寝ると通報されそう。さてどうしたものか……。
!?
気づいたら相棒と共に屋内にいました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
道の駅の東屋に座っていたらおじさんが声をかけてくださったんですよ。聞けばその方も昔お遍路をしていた方で、結願してからはここを通るお遍路さんをお接待しているのだとか。その御厚意でなんと今夜、お宅に停めて頂けることになりました。
夕食は先ほどのファミマで購入して酒盛りです。写真以外にもサラダやチャーハンを振舞ってくださり、その温かいおもてなしにとてもうれしくなりました。お風呂まで頂いて身も心もリフレッシュです。
道の駅の方で泊まるとなるとかなり落ち着かなかったでしょうから、こうしてお招きいただいて本当に助かりました。ご縁に感謝ですね。ありがとうございますm(__)m
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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