2023-10-15
四国編2県目の高知県に突入。ここはお遍路においては修行の道場と呼ばれるタフステージ。高知最初の札所である二十四番札所『最御崎寺』までの距離は前札所の薬王寺から約75km。昨日一日移動に使ってしまいましたからね。初っ端から修行みたっぷりで気が引き締まります(^-^;
遍路小屋での目覚め
ヘンロ小屋第6号宍喰からおはようございます。昨日は雨で、野宿できそうな公園や道の駅にたどり着けずに寝袋ひとつでの野宿となりました。四国に来て初めて遍路小屋というものを利用しましたね。
こんな立派なスーパー東屋が四国中にあるんですから整備してくれている方々には頭が上がりません。
出発の準備をしていると私に気づいた地元の方がコーヒーやパンなどをお接待してくださいました。連日四国の方の御厚意に甘えてばかりです。本当にありがとうございますm(__)m
頂いたものを食べたら出発です。
昨日はどんよりとした天気でしたが一夜明ければこの晴れ空。
朝からサーファーが波を楽しんでいます。もう結構寒いと思うんですけどマリンスポーツをする方はタフですね。
ヘンロ小屋第6号宍喰は県境近くにあるので出発したらすぐに高知県に入ります。
修行の道場『高知県』
発心の道場『徳島県』を抜けネクストステージ高知県。修業の道場編が始まります。遍路道としては最長の修行の道場。札所間区間も長いのでこれまでのように一日に5カ所などという回り方は難しいですね。
実際、前の札所『薬王寺』から出発して一日以上まだ札所を打てていません。長い道のりなので休憩しながら徐々に近づきます。
出発してから1時間半でお腹がすいたのでローカルコンビニで菓子パンでも買いましょう。日中はコンビニでの食事ばかりなので改めたい……。
高知市まで100kmですか。明日たどり着ければ上等ですね。
海岸も荒々しい、しかし見ごたえのある景色になってきました。昭和に入るまでは東洋町の根野から先は道が無く、お遍路さんたちはゴロゴロした石が連なる海辺を渡っていたというのですから驚きです。命がけなんですよね本来のお遍路は。
小学校を改修したむろと廃校水族館
二十四番札所『最御崎寺』に向かう途中にめちゃくちゃそそられる看板を目にしてしまいました。むろと廃校水族館!?
完全に学校じゃないですか!( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
むろと廃校水族館はその名の通り旧椎名小学校を改修した水族館です。オープンしたのは2018年4月。結構新しいですね。営業時間が始業と下校なの良い( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
先を急ごうか迷いましたが迷った時点で寄った方がいいというのがこの旅で得た経験です。高校生以上600円の入校料を払って水族館に入ります。
かつての手洗い場には
エビがいます。こういう風に廃校を利用しているんですね。
すべてが水族館にリノベーションされているのかと思いきや、小学校らしい景観も残っています。このタイプの机と椅子を生で見たのいつぶりでしょうね。
もちろんガッツリ水族館になっているエリアもあります。でもどこか学校らしさが残っていて良いですね。
ウミガメは部屋の真ん中にデカイ水槽が設置されています。
ウミガメを煽りの視点で見たのは初めてです。
生き物に特別興味があるわけではないですけど水族館という空間は好きです。薄暗い空間で光に照らされた水槽を見るのは心が落ち着きます。
お次は三回。
ブリのボーリング、ブーリング。四散するブリの絵もブーリングの語感も良すぎる。
理科室めいてきましたね。
理科室だ。
やっぱり理科室じゃないですか!
母校に不法侵入している気分になります。
音楽室も覗いてみますか。
ここは水族館まったく関係ないキッズルームですね。
教室にアイスクリームのある光景脳みそがバグる。
完全に普通の小学校。タイムスリップしたかのようです。ノスタルジー……。
外に出ます。
ああ~プールは水族館にするにはおあつらえ向きですね!
放たれているのがサメなので急にパニックホラーめいてきましたが。
小プールにはウミガメが。
もっと近づいてみます。
ジト目カメ。
洗浄中でした。
卒業の時が近づいてきました。
いや~思いがけず良い時間を過ごせました。小学生の頃を懐かしみながら、水族館を回るという不思議な感覚。また学校という施設を上手いこと水族館に再構築した工夫が目に見えて面白いですよね。
現在12:20
長い道草を食ってしまいました。今度こそ真っすぐに札所に向かいましょう。
国道55号線の通行止めに引っ掛かる
室戸半島のシンボル、室戸岬にもうすぐで到着。室戸岬お二十四番札所『最御崎寺』はほぼ同じ位置にあります。標高は全く違いますが(^-^;
白い波涛が吠えたてる海辺。こんな所はとても歩いていけませんね。
三津漁港に近づくとパトカーが道路に泊まっていて怪しい雰囲気。何事かと思っていると警察の人がやって来て「13時まで通行止めです」と告げられました。まさかこんなパターンでロスタイム食らうとは。今だいたい12時半。30分間手持無沙汰です。
こうかはいまひとつのようだ……🔫 pic.twitter.com/Nl0E1dGuEL
— ほこから@山 (@fawtMT) October 15, 2023
待っている間に水族館の写真をスマホに移してXにでも上げますか。
時間ピッタリ13時に通行止め解禁。いろんな要因で最御崎寺への到着が遅れます。
弘法大師修行の地『御厨人窟』
室戸岬到着。岬の本当に本当の先端はもう少し先ですが観光目的ではないのでそこはパス。
用事はこちら、弘法大師修行の地『御厨人窟』です。
大師は19歳の頃、この場所で虚空蔵求聞持法の修法に励んでいました。
出た虚空蔵求聞持法!
大師、一体何回虚空蔵求聞持法やってるんですか。これは虚空蔵菩薩の真言を100万回唱えることで無限の記憶力を授かるという荒行です。焼山寺と太龍寺でも聞きましたよ。
正面向かって右側の洞窟が修行をしていたという神明窟。
左側が生活をしていたとされる御厨人窟です。
大師24歳の頃の著『三教指帰』にて、修業中に悟りを開き、その際口の中に明星が飛び込んでくるという神秘的な体験をしたと書かれています。これによって大師は虚空蔵求聞持法が成就したことを悟ったのです。
その時この場所から見た空と海だけの景色に感銘を受け「空海」と名乗るようになったんですって。
【二十四番札所】室戸山『最御崎寺』
御厨人窟を出て自転車を走らせれば
すぐに最御崎寺の案内板が出てきます。室戸岬とほぼ同じ場所にあるこの札所ですが
Z軸方向に距離が離れています。これを自転車で登るのは骨が折れますよ。
なので鶴林寺で会得した歩き遍路モードにチェンジ。自転車を置いて徒歩で参ります。
徒歩20分ほどで
二十四番札所『最御崎寺』に到着です( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
前の札所『薬王寺』から約75km。長い道のりでした。
今日は木漏れ日が美しすぎる天気。心が洗われます。
山門
山門では大師像がお出迎え。
境内もまた緑豊かで癒されますね。
手を洗って本堂へお参り。
本堂
本尊:虚空蔵菩薩
真言:のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきや まりぼり そわか
近所の御厨人窟で虚空蔵求聞持法を成就したこともあり、本尊は虚空蔵菩薩です。真言が噛みやすいことでおなじみ。
最御崎寺は歴代の天皇の崇敬も篤く、南北朝時代には全国に一寺一塔(安国寺と利生塔)を建立した足利尊氏がこの寺を安国寺に指定し、利生塔を立てています。
大師堂
807年に嵯峨天皇の勅命によって再びこの地に訪れた大師が虚空蔵菩薩像を彫造して本堂を建立しました。当時は真言密教の道場とされ女人禁制の寺で、女性の遍路は遙か室戸岬の先端から拝んだといわれます。女人禁制は明治5年に解禁されています。
納経所
納経してもらったらちょっと灯台の方も見てみますか。
NEXT☞ 二十五番札所『津照寺』
次の札所までの距離:約6.5km
移動時間(徒歩):約1時間40分
室戸岬のシンボル『室戸岬灯台』
室戸岬のシンボル『室戸岬灯台』までは最御崎寺から歩いてすぐ。せっかくだから寄ってみます。
海が見える景色はやっぱりワクワクしますね。海と山は強い。
灯台到着。
景色と言えばこれだけなんですけど、風を感じながら見るのは何とも言えない満足感。
灯台からの太平洋の景色を楽しんだら自転車の回収に、来た道を戻ります。
相棒がポツンと停まっているのが辛うじて見えますね。
帰還。ゴミがだいぶ溜まってきました。ゴミ捨てができるような道の駅があれば良いのですが。
とりあえず今は次の札所を目指して自転車を走らせるのみです。
【二十五番札所】宝珠山『津照寺』
二十五番札所『津照寺』は国道55号線をちょい逸れて室津港方面へ。
室津港は土佐日記を記した紀貫之にゆかりのある場所です。国司として土佐で4年間の任期を終えた紀貫之は934年に京に帰る船出をしました。この帰京の旅を書いたのが土佐日記です。海路の難所である室戸岬を越えるための船が悪天候のため出せず10日ほど足止めを食らったその場所が室津港と言われています。
紀貫之これ私ですね。私も台風による悪天候で北アルプスに登れず松本のネカフェで10日くらい足止め食らったことがあります(全然違う)。
山門
港町に現れた赤い山門が二十五番札所『津照寺』です。
山門は行って右手に大師堂。階段を登ると本堂です。
それにしても今日はよく登らされます。狭いけど長い境内ですね。
本堂
本尊:延命地蔵菩薩(楫取地蔵)
真言:おん かかかび さんまえい そわか
階段は急こう配で危ないので手すりを使って登っていきます。
手水舎で手を清めたら本殿へ。こんな階段を登った所に手水舎?と思いましたが
畑美枝子氏の柄杓があるなら間違いありません。
本堂はなんだか一般的な仏閣とは趣が異なりますね。この中に入ると献灯、献香ができます。
津照寺の本尊は延命地蔵菩薩でまたの名を楫取地蔵(かじとりじぞう)。今昔物語にはこの本尊にまつわるエピソードが書かれており、曰く、津照寺の本堂から火が出た時、本尊の地蔵菩薩が僧に化身して人々に知らせ、被害を食い止めたとの事。楫取地蔵には火事取りという意味もあるのだとか。
楫取の由来として有力な霊験譚は1602年の事で、土佐藩主山内一豊一行が室津沖で遭難しかけた際に、一人の僧が現われて船の楫(かじ)を取り難を逃れました。僧の衣から滴る水滴は津照寺の方まで続いており、翌日寺を訪れてみると本尊がびしょ濡れだったといいます。このことから本尊は楫取地蔵と呼ばれているのです。
大師堂
急な階段を下って今度は大師堂。
この地を訪れた弘法大師が、山の形が地蔵菩薩の持つ宝珠に似ていることからここを霊地と定め、延命地蔵を菩薩を刻んで本尊とし、宝珠山津照寺と号しました。
納経所
納経所は大師堂そば。まだ15:40ですがすっかり夕方の陽射しです。
津照寺のすぐ隣には一木神社があります。この神社は室戸港開削の土佐藩普請奉行だった一木権兵衛を祀る神社。一木権兵衛は工事の妨げとなっていた巨岩を砕くために海神に命をささげることを誓い、実際に工事が完成した直後に自刃して命を絶ちました。それほどの意気で仕事に打ち込んだからこそ達成できた偉業だったのでしょう。次の札所に向かう前に手を合わせておきます。
NEXT☞ 二十六番札所『金剛頂寺』
次の札所までの距離:約3.8km
移動時間(徒歩):約1時間10分
室戸で一泊
今日は津照寺付近から大きく動かず室戸で一泊します。次の札所は4kmくらいなので行けないことも無いのですが17前ギリギリについて慌ただしい参拝になりそうですからね。そういう余裕のない回り方は太龍寺で懲りました。
まだ日がある内に寝床の当たりをつけてほか弁でも食べている方が良いです。お接待で柿など頂いたのでピーラーを買いに百均にも行きたいですし。本当に頂いてばかりのお遍路で良くしてくださる方々には頭が上がりません。そうしてサポートしてくださった方々のご厚意に報いるためには無事に結願することですね。無理せず休んで明日に備えようと思います。電源の利用できそうな施設もなさそうなのでブログも書けませんしね泣
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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