【429日目】結願の時きたれり! 八十八番札所『大窪寺』

2023-11-7

ついに最後の札所です。八十八番札所『大窪寺』にたどり着いた時、お遍路さんは何を思うのでしょう。無事にたどり着けたという安堵かもしれませんし、すべての札所を打ったという歓喜かもしれませんね。私はーー

目次

結願へ向かう遍路道

新開すこやかひろばからおはようございます。昨日は体調が悪いのに夜は雨が降って、しかも風も強いという天気でもうひっちゃかめっちゃかでした。しかも私がテントを張った場所に風が集まって来るんですよね。テントが一晩中踊っていました(メ゚皿゚)

朝になっても風は収まらずテントの撤収に大苦戦。今日は記念すべき日だというのに朝っぱらから弄んでくれるじゃないですか四国の自然は。゚(゚^ω^゚)゚。

記念すべき日、今日は八十八番札所『大窪寺』を打つ日です! いよいよ結願の日が来たといいわけですよ( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

まずは県道279号線を東に進み、鴨部川を渡る前に県道3号線と合流するのでそこから3号線を南下します。

そうしたら登坂との戦いの始まり。大窪寺は徳島県の県境に近い矢筈山(788m)の東側中腹にありますからね。普段はアクセスを面倒くさがる山寺ですが、最後の札所ならこのヒルクライムも一興です。

遍路案内板を見ると本当に大窪寺に向かっているんだという実感が湧きますね。遍路道はいくつかありますが、舗装路や峠道を緩やかに登る丁石道コースと、未舗装の道を歩いて最後には険しい岩山を登る女体山コースが主要なルートでしょうか。

車なら県道3号線を進んで、多和駐在所前で曽江谷川を渡り、国道377号線をずっと進めば左手に大窪寺が見えてきます。

私は丁石道コースを進むのでこのカーブで右に折れます。丁石道コースに入らずにこのカーブを少し進むと道の駅前におへんろ交流サロンがあるのでそこでルートの確認をするのも良いでしょう。

ひたすらヒルクライムなので疲れますが、最後の札所に向かっていると思うとこの苦労も心穏やかに受け入れられている気がします。

獲得標高は500mと少し。3時間半ほどかかって大窪寺の駐車場に到着です。

【八十八番札所】医王山『大窪寺』

デカイ仁王門が見えます。本当にたどり着いてしまいましたね。

仁王門

これが八十八番札所『大窪寺』の仁王門。なんだか勿体無い気がしてこの仁王門をくぐれません。ずっと門前に立って見上げています。多くの人が仁王門をバックに写真を撮って入ったり、あるいは出たりして私の隣を通り過ぎていきます。

今ここで感じているのは歓喜や安堵ではなく一抹の寂しさ。そういう気持ちになるのはお遍路の最後だからではなく、「私の旅」の最後だからこういう気持ちになるのでしょう。山登りなど様々なチャレンジをしてきた私の旅の最後の挑戦がこのお遍路でした。八十八番目の札所を打ったとなるともうこの旅の中では大きな目標はなくなってしまいます。それを失うのが惜しいんですね。

「四国霊場結願所」

結願の時を迎えたのだと標識に伝えられてようやく現実感が出てきました。参拝しますか。

手水舎も最後……いや、畑美枝子氏の柄杓が無い!!!

これまでの札所には畑美枝子氏の名前が書かれた奉納柄杓があって、それが新しくてきれいなのでずっと使わせてもらっていたのです。最後も畑氏の柄杓で締めたいところですが……。

広い境内なので他にも手水舎があるのかもしれません。一旦ここはスルーします。

大師、とうとうここまで来ましたよ。まあまだ高野山まで行くつもりなのでもう少しお付き合いいただきますけどね。

先に大師堂が現れますが本堂からお参りするのでここも一旦スルー。

寶杖堂(ほうじょうどう)

大師堂の隣には寶杖堂ほうじょうどう。八十八の霊場を無事に巡り終えた証としてお遍路さんが奉納した金剛杖が大量に保管されています。この金剛杖は毎年春分の日と山の日に催される柴燈護摩供で、山伏修験者によって焚き上げられるとの事。

私は金剛杖は持たずにお遍路をしてきましたがこれは良いですね。共に旅をしてきた金剛杖を最後は大窪寺に返すですって。これほぼ、泉にエクスカリバーを返すアーサー王伝説と同じでしょう。

予想通り本堂前にも手水舎がありましたね。

しかし目当ての柄杓は無し。畑氏、どこ……。

境内南側にも山門がありますね。せっかくですからそちらも見てみますか。

こちら側の紅葉めちゃくちゃ綺麗ですね。

二天門

こちらは仁王門ではなく二天門。

仏法の守護神である梵天と帝釈天を祀っています。

「四国遍路の旅にかける願いは限りなく多様である」

何で聞いたのか忘れましたけど、お遍路さんに遍路の理由を聞くのはよろしくないというのが心に残っています。もはや人の力では如何ともしがたい苦難、精神的もしくは肉体的な辛さを背負って四国にやってくる人も当然いらっしゃる。そこに余人が踏み込む余地はありません。お遍路最中に多くの方とお会いしましたが、なぜ遍路をしているのか聞かれたことはありませんし、聞いたこともありませんね。自ずから語るのは別として。

二天門を潜り目の前に現れる本堂はまさに山寺。大きな谷の窪地に堂宇を建立したことが寺号の由来です。

背後にそびえ立つのが弘法大師が求聞持法を修めた胎蔵ヶ峰。寺の縁起を調べる限りでは求聞持法としか書かれていないんですけど、虚空蔵求聞持法の事ですよね。いつもの。とんでもないですよ弘法大師。何回虚空蔵求聞持法やってるんですか。

本堂

本尊:薬師如来
真言:おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

717年に行基菩薩が開創。後に弘法大師が胎蔵ヶ峰で求聞持法を修めたあと薬師如来を刻み安置。弘法大師の師である唐の恵果和尚から授かった錫杖を納め結願所となったと伝わります。

札所案内坊主を見るのもとりあえずはこれが最後か。感情の読めないこの顔も今では愛嬌を感じます。

本尊はこのお遍路中一番お参りさせていただいた薬師如来です。薬師如来と言えば左手に薬壺をもつ仏様ですが、大窪寺の薬師如来はほら貝をもつ珍しい姿で、様々な厄難諸病をほら貝で吹き払ってくれるそうです。

江戸時代には女性が入れない札所もありましたが、大窪寺は早くから女性の入山が認められたので「女人高野とも呼ばれました。」

本尊前に阿弥陀如来と六地蔵の像がありますけど、地獄道担当のお地蔵様が片足出していないのでテンション上がりません。

いや、ちょっとまって!

畑美枝子氏の柄杓ここにあるじゃないですか! 良かった良かった、最後もこの柄杓を使わないと締りが悪いですよ!( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

大師堂

畑美枝子氏の柄杓で手を洗ったら大師堂へ。

なんかお遍路最後の札所として完璧な天気、というか陽射しですね。

大師堂の地下にはお砂ふみができる道場があります

さあ大師堂。ここのお参りが終わったら御朱印を頂いて結願ですよ。

納経所

さあいただきましょうか。御朱印をね!

納経所側には奉納したてホヤホヤの金剛杖が置かれています。

杖ぞれぞれで長さも先端の削れ方も違って趣深いことよ。できるなら金剛杖は持ってお遍路したいものですね。

という事でお遍路結願です!

結願!

結願

四国八十八ヶ所、すべての札所を打ちました! うれしい! でも少し寂しい(´;ω;`)

私はお遍路に懸けるような深刻な願いも無く、どちらかと言えば物見遊山の様な軽い気持ちで始めた四国巡礼でした。モチベーションも、旅のテーマが山と寺社なので、ほどほどに山登りもあり、お寺も周れるお遍路は旅の締めとして良いかもなぁくらいのもので。

それでも札所を周りながら自分の力で四国を巡っているとお遍路はただの目的ではなくなり、結願までの過程に価値を見出せるようになります。

お遍路の過程で得た素晴らしい体験の最たるものはお接待です。私の様な見ず知らずの、余所者に温かい言葉をかけてくれ、時には食べ物や一夜の宿まで貸してくれる。当たり前のことではありません。お接待をしてくれた方のほとんどとはおそらく今後の人生で関ることはないでしょう。そんな一生に一度すれ違うだけの私に心を尽くして優しくしてくれる。このような体験を四国中でできたのはお遍路をしていたからこそです。

本当に価値のあるものはお接待の思い出を筆頭に、お遍路の過程にあるものでした。だから結願を迎えてお遍路が終わってしまうのは一抹の寂しさを感じてしまいますね。








ほこから

ちょっとお利口さんすぎるな文章が

まあ嘘は言っていないのでこれで行きます。ご査収くださいm(__)m

NEXT☞ 一番札所『霊山寺』(お礼参り)

次の札所までの距離:約43km
移動時間(徒歩):約12時間20分

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次