デジタルと言葉を手放した10日間:ヴィパッサナー瞑想【準備編】

人里離れた山奥で10日間ひたすらに瞑想に励む合宿があると聞いたら皆さんはどう思われるでしょうか。それくらいの事なら

10日間の瞑想合宿、まあそんなこともあるんだろうな?

くらいの感想で済むかもしれません。

しかしこれに「合宿中は決して話してはいけない」「スマホもメモも禁止」という縛りが加わるとどうでしょう。途端にヤバそうな儀式めいてきましたね。友達や家族が参加すると聞いたら止めに入ること必至です。

しかし他人の言う事に耳を貸さずついには仕事を辞めて自転車で日本一周まで果たした私。今回はそんな沈黙の10日間を過ごすヴィパッサナー瞑想に参加して参りました。制止の声など届かぬわ。

目次

ヴィパッサナー瞑想とは?

ヴィパッサナー瞑想というのはインドの最も古い瞑想法の一つです。あのゴーダマ・ブッダが悟りを開いたのもこの瞑想法だと伝えられています。

じゃあ仏教なのか? という疑問が当然あろうかと思いますが、この瞑想法は如何なる宗教、宗派とも関係がありません。ヴィパッサナーの精神は「物事をありのままに見る」という所にあります。

やることと言えば精神を集中し、息を感じて、体の感覚に気づくことのみ。これによってあらゆる苦悩を根絶することができます。

ほこから

どうだ、怪しいだろう?

疑念はごもっとも。スマホも取り上げられて山奥で軟禁状態に置かれるとなると一般的現代人の危機管理意識に照らし合わせてみればそりゃ引っ掛かります。

喋れず、スマホも使えず、山奥で10日間も拘束されるとなると確かに人聞きは悪い。Googleで「ヴィパッサナー瞑想」と検索すると「やばい」がサジェストされますし。

ほこから

まあヤバイといえばヤバイ

主に股関節が。長時間の姿勢意地でですが。

文章だけで怪しさを払拭するのは難しいです。しかし「そんなに疑うんならやらなくていいです!」と突っぱねるのももったいなく感じるのがこの瞑想。良い経験になるかどうかはその人次第ですが、危険なことは無いので一度時間を作って体験してほしいなとは強く思いますね。

ヴィパッサナー瞑想に行こうと思った理由

10日間も喋れずスマホも使えないなんてこの現代にそんな場が存在するのかという驚きから興味をそそられました。

この瞑想に参加したいと思った当時は「山は神社を巡る事」をテーマに自転車で日本一周していたタイミングだったので、人里離れたところで精神修行をすることは旅のテーマにも掠っているように思えたのも大きかったです。

できるだけお金がかからないように日本を周る貧乏旅の最中でしたが、この瞑想合宿は参加費用もかからないですし。瞑想をビジネスにすると純度が下がってしまうという精神から、ヴィパッサナー瞑想は営利を目的としないで運営されているんですよね。

ヴィパッサナー瞑想の周知も、マスコミ伝いよりは経験者の口コミで広がることが望ましいとされ、Googleで「ヴィパッサナー瞑想」と検索しても出てくるのは公式ページやブログなどでまとめられた体験談ばかり。広告色は全くありません。実際に私も瞑想経験者の体験レポを読んで知ったクチです。

この瞑想、予約が取れなさすぎる

ただこの瞑想合宿、ありえないくらい予約が取れません。それこそ瞑想合宿に興味を持った日本一周中に参加しようと思ったのですが、当然のように予約は埋まっており、キャンセル待ちに望みを託したりもしましたが結局空きは出ず、合宿に参加する機会は得られませんでした。

長期連休シーズンでもない時に10日も時間を作れるような人はそうそういないでしょうと高をくくっていたらこれですよ。ヴィパッサナー瞑想の人気ぶりを思い知らされました。そんな当時の記事はこちらです。

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ヴィパッサナー瞑想の瞑想センターは千葉と京都にあります。京都のセンターは改修工事中なので実質千葉でしか参加できる余地のない時期だったので、旅で関東に来ているタイミングで参加したかったのにと悔しい思いをしたことを覚えています。

私の日本一周の旅のゴールは実家のある宮崎県。この機会を逃して九州戻ってしまうと、ますますヴィパッサナー瞑想へ参加する機会が失われてしまうだろうなと残念に思っていたら

奇跡が起きました……!

運命的なブッキング

なんと熊本県立天草青年の家で瞑想合宿が開催されるというメールが来たのです!

京都の方が改修工事で使えないので試験的に他の施設を貸し切って瞑想合宿を行うという試みのよう。しかも開催時期が2023年11月23日ときたもんです。私の日本一周ゴール予定日が11月20日なので公共交通機関を使えば余裕で宮崎から参加できます。瞑想合宿に行けと言う天啓でしょうこれ。

初の試みという事で予約もまだ埋まっていないので即予約しました。首都圏ならまだしも長期休暇シーズンでもない月に10日も休みとって九州に来れる人なんてそうそういないでしょうね。さすがに。

ただそれが安易に人にお勧めしにくい部分でもあります。私のようにモラトリアム期間を堪能している人間やフリーランスで働いている人以外だと10日という時間はなかなか捻出しにくいのも事実。会社勤めだとリフレッシュ休暇を使っても9連休がせいぜいですもんね。よしんば10連休取れたとしてフルで瞑想にぶち込むという選択ができるかと言えば、私も勤め人だったときであれば取れない選択です。やはり一旦休職してもらうしかないか……

いざ熊本、ヴィパッサナー瞑想へ

そんなヴィパッサナー瞑想の事を考えながら予定通りに11月20日に自転車日本一周ゴール!

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一年半かかった日本一周をようやく達成したわけですからしばらくはゆっくりと過ごしたいところではありますがそんな余韻に浸っている暇はありません。今度はすぐさまヴィパッサナー瞑想の準備に取り掛かります。2023年もあと少しで終わるというタイミングで慌ただしいことよ。

宮崎から熊本へ

瞑想合宿初日。高速バスを使って宮崎から熊本まで行きます。

桜町バスターミナルで下りて今度は天草行きのバスへ乗り換えです。1時間くらい時間があるので昼食を済ませておきましょうか。

まさかこんなに早くまた熊本に訪れることがあろうとはね。

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前回食べに行ったラーメン赤組へもう一度行きたかったのですがさすがに時間がありません。駅地下のマックで済ませるとします。昼食以降はもうジャンクなフードも食べられなくなるんですね。少なくとも十日間は。味わって頂きました。

昼食を終えたらバスターミナルで待機。

なんだか人が多くて笑ってしまいました。絶対わたしと同じヴィパッサナー瞑想合宿参加者でしょう。でなければ天草に行く用事なんてあるはずがありません(偏見)。

2時間弱バスに揺られて

熊本県立天草青年の家の最寄りバス停である松島郵便局前に到着。

案の定めちゃくちゃ人が降りてきて笑いました。皆さん瞑想合宿の参加者だったようです。

天草青年の家はここから2kmちょっと離れた山の中にあるので、郵便局前でタクシーを呼んでいく人が多いですね。というかそうした方がいいですよと運営からメールで言われていました。

私は歩いていかせてもらいますが!

こちとら人力日本一周上がりのプー太郎。片道2km弱、獲得標高140m程度の道にタクシー代は払ってられません( •̀ᴗ•́  )

30分ほど歩いて天草青年の家に到着!

「研修は厳しく」の看板にちょっぴり慄きます。これから10日間は喋れないしスマホもいじれないんですね。文字通り厳しい研修となりそうです。

天草青年の家の玄関前には奉仕者の方がいました。その方に案内されて施設内へ。

案内されたのは四人部屋。私は奥の一段目のベッドですね。ラッキー。2段目は梯子の上り下りが面倒ですから。

自分のベッドを確認したら今度は食堂にて瞑想合宿の受付を行います。ここでスマホや財布など合宿中に不要なものを預けます。再び受け取れるのは合宿を終えた10日後です。

受付の際には意思確認の書類にもサインをしないといけません。「これからマジで10日間はルールを守って瞑想合宿してもらうけど大丈夫?」みたいな書類です。文章で表現すると物々しい雰囲気になってしまいますが私は割と気楽にサインできました。

0日目はオリエンテーション

受付が終わったらオリエンテーションの開始です。一日のスケジュールや合宿中に守るべき戒律の確認などの説明を受けました。

スケジュール

スケジュールは以下の通りです。

時間活動
04:00起床
04:30 – 06:30ホールまたは自分の部屋で瞑想
06:30 – 08:00朝食と休憩
08:00 – 09:00ホールにてグループ瞑想
09:00 – 11:00ホールまたは自分の部屋で瞑想
11:00 – 12:00昼食
12:00 – 13:00休憩および指導者への質問
13:00 – 14:30ホールまたは自分の部屋で瞑想
14:30 – 15:30ホールにてグループ瞑想
15:30 – 17:00ホールまたは自分の部屋で瞑想
17:00 – 18:00ティータイム
18:00 – 19:00ホールにてグループ瞑想
19:00 – 20:15講話
20:15 – 21:00ホールまたは自分の部屋で瞑想
21:00 – 21:30ホールにて質問
21:30就寝

食事、休憩、講話以外の時間は瞑想ですね。これを10日間、大丈夫かな……。

聖なる沈黙

聖なる沈黙
コースの開始から最終日の午前中まで身体・言語・精神の沈黙を守らなくてはならない。ジェスチャー、手話、メモ書きなど、一切のコミュニケーションは禁止

この聖なる沈黙が10日間喋ってはいけないという禁の名前です。メモすらできないのが個人的にはキツイところ。のちのち体験談を書くときにどうやって合宿中の記憶を呼び覚ませばよいのやら……。

執筆中のほこから

気合で思いだします

五つの戒律(シーラ)

五つの戒律(シーラ)
・生き物を殺さない
・盗みを働かない
・一切の性行為を行わない
・嘘をつかない
・酒、麻薬の類を摂らない

また合宿中はシーラと呼ばれる五つの戒律を守りながら過ごします。まあこのシーラに関しては特別意識をしなくても自然と守れるものではあります。合宿中は喋れないですし、貴重品は全部預けていますし、食事も奉仕者のコントロール下で摂るので。

他には

祈祷、礼拝、宗教儀式、断食、お香を炊く、数珠の使用、マントラを唱える、歌や踊り

といったことも禁止です。ヴィパッサナー瞑想は特定の宗教に属しません。宗教的な儀式や他の瞑想法との混合は純粋な瞑想体験を得る妨げになります。

アーナパーナ瞑想

食堂での説明が終わった後はホールへ移動して瞑想をします。今後はホールか自室で瞑想をしていくことになります。

ホールの中には整然と並べられた座布団。ステージの前には白いスクリーンが下ろされ、さらにそのスクリーンの前には指導者が座っていています。

青年の家の施設を借りているので見た目は完全に小学校の体育館ですね。専用の瞑想センターである千葉・京都のホールはもっと違った雰囲気なのかもしれません。

そんな体育館もとい瞑想ホールで最初に行ったのがアーナパーナ瞑想という瞑想法です。これは鼻の呼吸に意識を集中させて、吸ったり吐いたりする息を鼻腔で感じることができるか、吐いた息が上唇に当たることに気付けるかというものです。

ヴィパッサナー瞑想に入る前のチュートリアルともいえる瞑想法ですがこれが意外に難しい。そもそも息に意識を割くことなんてほとんどありませんからね。気づけてもせいぜい呼吸が浅いか深いかくらいのもので、息の感触というレベルになると集中してもあまりよく分かりません。

この瞑想合宿0日目ではイマイチよくわからないままアーナパーナ瞑想を終えました。まだ合宿は始まったばかりですがやっていけるのかちょっと不安になりましたね。

とうとう始まる沈黙の10日間

アーナパーナ瞑想が終わったらいよいよ「聖なる沈黙」の始まりです。ここから合宿が終わるまでの期間はおしゃべり禁止の縛りを受けることになります。

私も一人暮らしをしている時は自室で一言もしゃべらない日なんかはザラにありましたが、さすがに一日中声を出さないという事はありませんでしたね。買い物に行けば店員さんとの受け答えもありますし、散歩しながら歌を口ずさんだりすることもありましたから。

しかしここではそんな独り言もご法度です。別に破ったからと言って切腹ということも無いのですが、こちとら中々予約の取れない瞑想合宿に10日の時間を投じてきているわけですから真面目に禁を守ろうという心構えでやっていくつもりです。

聖なる沈黙が始まってホールを出たら自室に戻ります。ホールにいた人間はみんな宿泊棟に向かうのですが、大勢の人間が同じ場所に向かって歩きながら誰もしゃべらないというのは異様な光景に写りました。

自室に戻れば相部屋の人が私以外に3人いる訳ですがそれも無視し続けないといけません。すれ違いざまにあいさつどころか会釈すらできないというのはこれまで培ってきた社会規範に真っ向から反抗する行為なので意外にストレスですね。思ったよりも厳しい生活になりそうな予感がします。

ともかく今日は歯を磨いて寝るだけです。現在21時過ぎで明日からは4時起きの生活なので早く床に就くとしましょう。日本一周が終わって家なき子生活にも終わりを告げたと思ったらまた訳の分からない生活リズムの合宿に来ていて混乱しますね。頑張ります。

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合宿編はこちらから











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