日本一周北海道編ラスボス幌尻岳の最終回です。
昨日は幌尻岳に登頂するタイミングで天候大崩れ。
日高山脈の深部で大嵐に見舞われるという、私の登山経験の中でも最悪の状況に陥りました。
そんな中でなんとか樹林帯にまで下りビバークした昨夜。大変勉強になった一日でした。
6:00 起床
トッタの泉のちょっと下方からおはようございます。
昨日はとてつもない大嵐。あんなに強い風を食らったのは登山してきた中、いや人生の中でも初めてです。
台風ばかりの宮崎で育った私でも感じたことが無い強さ。
遮るものの無い山の上での嵐の凄まじいパワーには恐怖を感じました(๑-﹏-๑)
テントが張れそうな稜線上は諦めて樹林帯でビバークし一夜を明かしたわけですが、ペグを張る余裕もなくテントに避難したので、フライシートがテントに張り付いて若干浸水。もともと装備も濡れていたのでテント内はさらにウェッティ。シュラフも若干濡れてしまいあまり快適な夜ではありませんでした。
ビバークですから快適さは二の次ですけどね。
多少休息はとることができ、疲れを残さない状態で朝を迎えることができました。
今日の目覚めは人の足音によって。
下から登ってくる登山者の音で起き上がりました。
通りすがりざまにテントから顔を出してあいさつします。
まさかすべての登山口がぶっ壊れている状態で登ってくる方が我々の外にもいたとは……。
我々というのは上のトッタの泉にもテントを張っている登山者が二人いるんですよね。
今回の山行で度々顔を合わせています。
今日上がって来た登山者のお兄さんと少し世話話をしました。一番気になったのは沢の状況。
このチロロ林道コースは十数回の渡渉があるので、昨日の大雨で人が通れないくらい増水していたらどうしようという懸念がありました。
お兄さん曰く、渡渉は膝下くらいの水量で全く渡るのに問題はないとの事。
お兄さんがここまで上がってきていることから予想していましたが実際に他の人の口から状況を把握できるとより安心です。
お気をつけて、とお兄さんを送り出して下山の準備を整えます。
・・・・・・
6:30頃に今度は上から下りてくる足音が聞こえました。
トッタの泉にテントを張っていた二人です。
昨日の嵐はとんでもなかったですねとお互いの無事を喜び合います。
あの天候の中他の人が同じ山域にいるという事の安心感ったらなかったですよ。
私もそろそろ降りるところです、と話すと
「せっかくだから一緒に下山しようよ」
と提案してくださいました。
めっちゃうれしかったです( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
ここでようやく自己紹介。
だだ登山道ですれ違うだけで一々自己紹介はしませんから、今の今までお互いの名前も知りませんでしたけど、同じ日程で幌尻岳に登って、昨日の嵐を越えたとあってはもう戦友です。
お二人はUさんとMさん。
休暇中に北海道を車で周りながら山登りをしている旅人さんです。
私の準備を待ってくれるどころかテントの撤収を手伝ってまで貰って。゚(´つω•`。)゚。
ありがとうございます。
7:00 下山
準備が整ったところで下山!
樹林帯は雨でぬかるんでいること以外は普通です。
問題は渡渉ですよね。
確かに膝くらいの水量ですが、心なしか初日の沢よりも勢いが強いか……。
もうハナッから濡れる覚悟で沢に臨んでいるので歩きやすそうなところを濡れるのお構いなしにジャブジャブと進んでいきます。
土砂が崩れてピンクテープの巻き付いた木ごと移動しているので度々ルートを逸れてしまいました。
最終的には沢沿いに下りていけば元のルートに復帰できるので不安はありませんでしたけどね。
昨日狂ったGPSも今日は調子が良いですし。
9:25 チロロ林道登山口
ようやく本来の登山口まで下りてきました。本当であればここから車なり自転車なりで帰れるのでしょうけどね。現在の幌尻岳事情はそんな甘いものではありません。
車はおろか自転車だって通過するのは至難の業。チロロ林道コースはもはや歩きでアクセスするしかありません。それだって森林管理局の方からすればおススメしない所業ですけどね。実際に管理局に行って問い合わせた時もここから登るのは自己責任であることは強く念押しされました。
上から見る分にはきれいな川の流れなのですがねぇ。
そういう水の流れが道を破壊するのだと思うと何とも言えない気持ちです。ここなんか完全に道が割れていて、通過するには割れ目を下りて再び上るしかありません。
その後は非常に冗長な林道歩き。チロロ林道コースは上高地の河童橋から横尾が追加されたようなもの。
本当にここまで長かった……( ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )
ザックの重みで肩が外れそうですよ。
11:30 チロロ林道封鎖ゲート
下ッ山!!!
入林届にも「下山」と記録します。
おおおおおお相棒!
よく無事で( ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )
本当たいへんな登山だったんですよ相棒。
林道から再び道の駅 樹海ロード日高に戻る予定だったのですが、なんとUさん一行もそこに行くつもりだったという事で自転車ごと車に乗せて送って頂きました。本当にありがとうございます。゚(´つω•`。)゚。
12:40 昼食
そして道の駅のすぐ近くにある蕎麦屋さんで一緒に昼食を頂くことに。
本当に2泊3日とは思えない長い山行でした。人間の文明がまぶしいですよ。
注文したのは親子丼とざるそばの大盛り。
なんだこの貴族の飯は。わ、私の様な下賤のものが食ってもいいってんですかい!
大雪山~十勝の縦走もそうですけど長い山行を終えた後の下界の飯は何だって輝いて見えます。これ以上の贅沢は無いと感じるくらい。
食後は道の駅まで運んでもらいました。
食後は私が幌尻岳に挑戦する直前に入ったひだか山荘の日帰り入浴に三人で行こうという話だったんですけどなんと今日に限って日高町は断水! 幌尻岳から下りてきた私たちにそんな仕打ちを!?
本当なんというタイミングですか。
まあ温泉は残念でしたけど無事に下山できた喜び以上のものはないですね。
幸い今日は晴れ。というか烈日だったので即すべての装備を展開してカラッカラに乾かしました。湿った装備の水分を飛ばすこと以上の快感はありません。この天気を昨日やれ(メ゚皿゚)
Uさんたちは道の駅内にある日高山脈博物館を観光してから移動するそうです。
私は……今日はもう移動する気になりませんね。
ここで野宿して明日から移動することにしましょう。
・・・・・・
明日からのルートを考えながら装備を干していると、Uさんたちが別れのあいさつに来てくださいました。どれだけの時間天日干ししているんだ私は(。◔‸◔。)
Uさんの地元が天城山近くという事で、登るときは一緒に行こうと言ってくださいました。
こういう再会の約束っていいですよね。旅には付き物の別れがただの寂しいものではなく新たな楽しみを生み出すものになるので。
天城山に登るときは是非!
本当にありがとうございました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
さあそんなこんなでもう夕暮れ。
今日の活動はここまでです。
北海道に入った当初は登れると思っていなかった幌尻岳。
とてもその当時の私では太刀打ちできるイメージがわかなかった山だったのであえて最後に登ることになる様調整して北海道旅のルートを決めていました。
思惑通りにラスボスとして立ちはだかった山。
実際に登るまでは「ラスボスだったけど以外とサラッと登れたな笑」みたいな展開になるかな、と思っていましたがそんな裏切りはなく、真っ当にラスボスらしい困難をぶつけてきたこの山。
山の難易度は、当人の体力、装備、コンディションと様々な要因が絡むので決して定量化できるものではありませんが、今回の幌尻岳は明確に難しい山でした。ラスボスそのもの。
だからこそ登頂して無事に下山できたことがとてもうれしいです。
北海道で一番大変だったことを聞かれれば間違いなくこの幌尻岳登山になるでしょう。
試される大地のキャッチコピーで有名な北海道。
そのためされ成分を凝縮したのがこの山。
間違いなく私を旅人として成長させてくれた山行でした。
山に感謝を。
そして戦友たるUさん方に感謝を。
本当にありがとうございました!!!!!
まあもう二度とチロロ林道からは
登りませんが(。◔‸◔。)
コメント