妖怪の聖地『遠野』へ
下山してからもずっと小雨。雨宿りしていても収まる気配が無いのでもう出発しちゃいます。標高を下げれば天候も安定するでしょう、という希望的観測。
先ほどの遠野は何だったのか。すぐさま宮古市にチェンジ。
そして目論見通り日が差してきました。それを山の上でやってくれ。゚(゚^ω^゚)゚。
晴れたら晴れたで複雑な気持ちです。いや、まあ、雨よりはマシですが。なぜ今更……。
下山してから4時間ほどで再び遠野入り。昨日一生懸命稼いだ標高を全部吐き出してしまいました。登山口まで自転車で行くとブレーキシューの減りがマッハです。スピードも出過ぎて怖いですし下りだからと言って気楽でもないのが激坂の良くないところですね。何事もほどほどが一番。傾斜もね。
ここら辺は特にどこに寄ることも無くただ進むのみですね。
遠野の雰囲気好きです。
小川のせせらぎ……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
現在13時半。遠野市街地まで12kmですからかなりいいペース。観光も存分にできそうです。
しかし本当にいい町! 天気もあるでしょうがなんて気持ちのいい空間か。ここまで来てしまえば起伏もきつくなく快適なサイクリングが楽しめますし。
花を撮る余裕もあります。
無人販売ですね。遠野と言えば妖怪。妖怪と言えばカッパ。
なのでカッパを捕獲するためにきゅうりでも用意しておこうかと思いましたが、そう都合よく置いてはありませんでした(。◔‸◔。)
では参りましょうか。遠野観光第一弾『伝承園』! そのあと『カッパ淵』には行きます。
伝承園近くの駐車場。
カッパがチャリに……!?
遠野体験『伝承園』
早速入っていきましょうか伝承園。
ここは遠野地方のかつての農家の生活様式を再現した施設。
伝承行事、昔話、民芸品の製作・実現などが体験できます。
特に楽しみにしているのはオシラ堂です( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
笑った。
きゅうりが欲しくなる遠野ビギナーの事めっちゃわかっていますねꉂꉂ(˃▿˂๑)
帰りにカッパ淵行く前に購入しましょう。
施設内は古き遠野の生活様式を再現した空間に。映画村のオープンセットみたいですね。
佐々木喜善記念館!
佐々木喜善については宮沢賢治記念館に行った時に少し触れましたね。
あの宮沢賢治と佐々木喜善にまさか交流があったとはと驚きです。
日本民俗学の祖柳田国男の『遠野物語』。
これは喜善が柳田国男に語り聞かせたものを筆記した本なのです。
この話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。昨明治四十二年の二月ごろより始めて夜分おりおり訪ね来たりこの話をせられしを筆記せしなり。
遠野物語
小説家でもあった佐々木喜善のペンネーム『佐々木境石』から、「境石君」と遠野物語の中で柳田国男はそう呼んでいましたね。
中は年表や民間伝承に関する資料。
佐々木喜善は遠野物語の親とも言うべき存在ですが、それだけでなく『昔話』の親ともいえる存在なのです。
昔話と言えばこの「むかしむかし~」で始まる語り口ですよね。そして物語は「~めでたしめでたし」で締まるという。
このようなお決まりの始めの句と終わりの句で構成された口伝えの文学を『昔話』と初めて定義したのは佐々木喜善でした。すごい人なんですよ佐々木喜善( •̀ᴗ•́ )
馬と娘の恋物語『オシラサマ』
お次は伝承園で一番楽しみにしていたオシラサマを見に行きます。
オシラサマが収められているオシラ堂へは菊池家曲り家から入ることができます。
菊池家曲り家は国指定重要文化財。1750年頃に建てられたといわれる最も古い時期の南部曲り家です。
オシラ堂へ行く前に少し見て回りましょうか。
オシラサマの物語はお蚕にとても関わりがあるのでこうしたまゆ玉糸取のコーナーなども受けられています。
古民家の雰囲気バリバリ。風情がありますね。
座敷童がいるとな(。◔‸◔。)
日中はお昼寝しているんですって。
あ~素晴らしい!
なんて素晴らしい雰囲気!
なんと情緒のある空間か。゚(゚^ω^゚)゚。
ゾクゾクするくらい味のある空間。たまりませんね。
えっ
急に怖い……。
日中お昼寝している座敷童とはこの子の事でしょうか。
寄り道はこれくらいにして本命に参りますか。
しかし座敷童の提灯は素晴らしかった……。
!?
どれだけ私を喜ばせる空間を作るのが美味いんですか伝承園。
非日常を感じる空間大好きなんですよね。だから人里離れた山が好きなんですし。
こういう一見ホラーチックな空間も大好きです。恐怖を感じるという事は尋常な事ではありませんから。尋常でない、すなわち非日常です( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
オイオイオイオイオイ……
唆るぜ、これは!
見出しでも書いたようにこちらのオシラサマは馬と娘の恋のお話なんですよ。
馬と夫婦になった娘。娘の父は怒りから馬を殺してしまいます。
そうしたら馬と一緒に娘が昇天してしまったという筋です。
オシラサマはこの時できた神様なのです。
『蚕の始まり』という昔話ではこの話のつづきが描かれています。
嘆き悲しむ両親の夢の中に娘が現れて「三月十六日の早朝に土間の臼の中に馬の頭の形をした虫がいるので桑の葉を食べさせてください」と言います。その通りにすると繭ができ、糸をとることができたというのです。これが蚕の始まりです。
だからまゆ玉糸取のコーナーなど置かれていたんですね。オシラサマとお蚕様は密接な関りがあったのです。
ちなみにこの『蚕の始まり』はアニメ日本昔話で『お蚕さま』として放送されています。
それでは本丸『オシラ堂』へと参りましょう。
オシラサマで埋め尽くされた空間、一体どのような光景が広がっているのか。
はい。
あ~はいはい。
圧巻よ。゚(゚^ω^゚)゚。
壁を埋める千のオシラサマ。凄まじい光景ですね。
なんだこれ。すごすぎる。
このオシラ堂ではオシラサマに願いを託せます。
布に願い事を書いてオシラサマの首にかけるのです。
まさに「願いをかける」というわけですね。
私もひと願いいったりますかね。
布が柔らかくてまともに文字が書けません。゚(゚^ω^゚)゚。
ガタガタの文字ですが願いが伝わるといいなと思います( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
お次は昔話空間です。
おばあちゃんの人形が昔話をエンドレスリピートしています。
侘び……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
そろそろ外に出ますか。
御蚕神堂が先ほどのオシラ堂ですね。
水車は目にも楽しいです。
本当に伝承園だけで村の一角ができています。
井戸。私なんかはホラー映画で見る頻度の方が高いもの。
風呂。
トイレ。渡してある板にまたがって、ぶら下がった縄に掴まりながら用を足していたそう。
お土産屋さんには伝統工芸品がずらりと並んでいました。店員のおばあさんと旅の話をしましたね( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
私の知っているカッパじゃない……。
さて、回れるだけは回りました。伝承園を後にして次に行きましょう。
次はもちろんカッパ探しです( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
釣れ!『カッパ淵』
例の100円詰め放題コーナーできゅうりも調達しました(੭ु *`∀´* )੭ु
こんなにきゅうり買う事無いですよ普通。
行きますか。カッパ捕まえられるだろうか……。
カッパ淵はこの常堅寺の中を抜けたところにあります。「寺の中にはないだろ」と思って別の道に入り少し迷ってしまいました。
寺の中にも案内板が。本当に寺を通るとは。
橋を渡ると……
え、これ?
これっぽそう。きゅうりぶら下がってますし。
あ、絶対ここですね。
カッパの首にトラベル用枕よろしくきゅうり引っかけた不届き物がいるようです。
いやそれにしてもここがカッパ淵ですか。
絶対いないでしょう。゚(゚^ω^゚)゚。
浅すぎる。子どもがカッパに川の中へ引きずられるイメージがあったのでこんなに浅いとは思いませんでした。あとサメのヒレよろしく皿だけ水面に出して揺蕩うイメージ。この浅さでは引きずり込むことも潜ることも不可能ですね。
小烏瀬川の姥子淵の辺に、新屋の家という家あり。ある日淵へ馬を冷しに行き、馬曳の子は外へ遊びに行きし間に、川童出でてその馬を引き込まんとし、かえりて馬に引きずられて厩の前に来たり、馬槽に覆われてありき。家のもの馬槽の伏せてあるを怪しみて少しあけて見れば川童の手出でたり。村中のもの集まりて殺さんか宥さんかと評議せしが、結局今後は村中の馬に悪戯をせぬという堅き約束をさせてこれを放したり。その川童今は村を去りて相沢の滝の淵に住めりという。
遠野物語
遠野物語では、馬を川に引きずり込もうとしたカッパが逆に引き上げられる話があります。村まで引きずられた悪戯カッパを村人たちは殺してしまおうかと話し合いましたが、結局もう二度と悪さをしないと約束させ逃がしてあげたというお話です。
カッパは許可が無いと釣れないようですしそろそろお暇しましょう。
さらばカッパ淵。絶対ここにはカッパいません(。◔‸◔。)
時刻は15:40
また一雨来そうな空模様ですがもう一か所観光します。今日は動いていますねぇ。
さあもうひと踏ん張りしてくれ相棒。
余ったきゅうりを吊り下げるところがありません。゚(゚^ω^゚)゚。
かっぱ橋……上高地か?
次なる目的地は伝承園から自転車で20分ちょっと。日が暮れる前に急げ!
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