双子池キャンプ場よりおはようございます。
ここキャンプ場ですよね……?
私以外、人がいませんしテント場も辛うじて晴れる場所があるかな? くらいのスペースだったのでビバークをしている気分でした。熊が怖い。
そんな微妙に怖い夜を過ごしての日本一周51日目。
今日も長い行動時間になります。
気合入れていきましょう!
6:40 双子池キャンプ場
テントがビッショリです。
テントの撤収はただでさえ億劫なのに、濡れているとより面倒さが増しますよ(・`_´・)
乾かすのは無理なので適当に丸めて下山してから乾かしますか。
さあ本日朝一の試練、オプタテシケ山越え。
麓がこれだけの雪渓に覆われているというのはリサーチ不足でした。
GPSを確認しないと容易に道を外してしまいます。
目印のペンキも極端に少ないです。
300名山ともなるとこういう辺鄙な場所の山も登らないといけないのでしょうね。
100名山だけでも結構うまく人生やらないと登り切れないというのに、200、300名山やっている方々は怪物ですよ。
がっつり雪渓登りますねえ!
本当にチェーンスパイク持って来ておいてよかったです。
備えあれば憂いなし。
ルート間違えて行き止まり。
本当にこういうのは体力共に精神力が削られます。
こまめなルート確認を怠ったツケ。
雪渓の上でGPS毎回確認するのも怖いですしねぇ。
もしスマホ落とそうものなら麓まで高速配達してしまいます。
せめて霧さえなければもっとルートを見渡せるのですが。
ようやく雪渓を抜けて明瞭な登山道に乗れました(;^_^ )
しかし今度は恐ろしいほどの突風。
容易に登らせてくれませんねオプタテシケ。
風邪をしのぐためにハイマツに伏して休憩したりしてようやくピークが見えるところまでやってきました。
しかし強風は止まず。思わずふらつくくらい風が強いので稜線を歩くのが少し怖いですね。
しばらく岩陰に隠れて風が弱まるのを待ちます。
9:20 オプタテシケ山登頂!
300名山オプタテシケ山、ようやく登頂です。
コースタイム片道2時間の所を2時間40分かかってしまいました。
ひどいコンディション。雨って下から降ることあるんですね(๑-﹏-๑)
山頂でゆっくりする気にもなりません。
一刻も早く標高を下げて強風から逃れたいです。
オプタテシケ山からの下山を始めて5分程度で人と会いました。
オプタテシケ山縦走コースに入ってから初めてのエンカウント。
めっちゃくちゃ久しぶりに人間を見た気持ちです。
人里に下りてきた動物ってこんな気持ちなのかも。
40代くらいの男性二人組だったのですが、なんとこのオプタテシケ山が300名山最後の一座だったようで。
ここまでさんざん300名山やってる人は怪物だ行ってきた後に、まさかこのオプタテシケ山でコンプリートの登山者に出会うとは。
話聞いた瞬間爆笑してしまいましたもん。
「めっちゃすごい!とんでもないですね( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )」
ずっと孤独にオプタテシケまでやってきた後に、すごい挑戦を成功させた人たちに出会ってテンションが上がり、何だかめちゃくちゃ元気が出てきました。
登山はメンタルですね。
なんだか楽しい気持ちでこの凶悪なオプタテシケ山を下山していくことができました。
こんな荒天でもお花畑は変わらず美しくあるのです。
自然の力はすごいなとこういう場面でも思います。
少しコースからは外れますが小屋で長めの休憩をとりましょう。
11:40 美瑛富士小屋
気づけばもうお昼ご飯の時間です。
行動食ではなくインスタント食品でガッツリ飯を食べましょう。
小屋内には50代のおばさまが居ました。
前日ここに泊まって、オプタテシケ山をピストンで登ってきたところだそう。
オプタテシケ山は十勝側から登るもののようですね。
そりゃそうだ。
おばさまは200名山を登り終えて現在300名山に挑戦しているのだそう。
また出会いましたね『怪物』に。
聞けば登山を始めてたのは45歳からなんですと。
マジ?
すごすぎるでしょう。
そこから100名山のぼって200名山まで!?
もはやすごいという言葉すら陳腐に思えて言うのが憚られますね。
「若いうちにやりたいことやっておいた方がいいよ!」
旅先で年上の方から贈られる言葉ナンバーワンであるところのこのセリフをおばさまからも頂きました。
みなさん誰しもそう思うものなんですね。
日本一周なんてまさにやりたいことを勝手にやっている状態ですから「やりたいことやってます笑」と真剣にこの言葉を受け取れていない部分がありますが、この旅が終わった時それでもなお自分の欲のままに振舞えるかと考えると……
言葉が出ませんね。
この自由時間が終わった時また自分は何かやりたいことを我慢してしまうのではという一抹の不安。
他のことを顧みない練習を今この旅でしているのだと思うようにしています。
やりたいことをやる、ねぇ……。
とりあえず今やりたいなと思っているのは
「十勝で下りるつもりだったんですけど食料も時間も余裕があるので上ホロ避難小屋で一泊して富良野岳まで登ろうかと考えているんですよね」
何だかそんな気持ちになっていたんです( •̀ᴗ•́ )
せっかくの機会、余裕のある範囲で行けるとこまで行きたいなという欲望が湧いてきました。
「上ホロ避難小屋いま使えないよ」とおばさま。
はいい!?
上ホロ避難小屋は老朽化のため今年建て替え工事を行っているそうなんです。
というか美瑛富士避難小屋内にも「上ホロ避難小屋使えません」の張り紙がありました。
テント場も健在置き場になっているのでテント泊もできないとのこと。
完全に富良野岳への道は閉ざされています。
ぐおおおおお今年に限ってそんなことが……!!!
しかし山小屋は登山者にとっての命綱。
建て替えは必要なことですね。
関係者の方々には頭が上がりません。
ビバーク(緊急的な野営)も脳裏をよぎりましたが、小屋が使えないことを知っておきながら緊急的な野営も何もないですからね。意図的ですから。
落石、突風、その他もろもろのリスクや、排せつ物の処分場所など多くのことを考慮してテント場というのは設定されているわけですから、個人の判断で好き勝手テント張るのは非常に顰蹙を買う行為なんですね。
無理やりテント泊して登りに行ってもそんなことブログに書けないので諦めることにします。
やりたいことを、やれるかどうかは自分以外の要素が握っていることもあると言いうことですね。
(計画に無いことをやろうとするな)
昼食もとって腹も満ちました。
予定通りに十勝へ向かいましょう。
ぐ……
またガスの中の雪渓ですか。
神経使うんですよねこれ。
渡り切って一安心。
俯瞰してみると傾斜が結構恐ろしいです。
渡っている時はそう感じないのですけどね。
チェーンスパイクがあって本当に良かった(2回目)。
美瑛岳をちょっと登って十勝へ向かいます。
美瑛富士は完全にルートから外れているのでパスです。
美瑛富士は見て美しいのでそれでオッケー!
美瑛岳を登り進めて十勝側を覗いてみると……
スゲ……
いきなり音楽性変わりすぎでしょう!
素で「うわスゲッ!」って声出ましたよ( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
美瑛富士側
十勝側。
いきなり世界が変わりますね( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
山には驚かされてばかりです。
さて、美瑛岳をはさんだそんな興奮の境目から見えるのが
今いるこの美瑛岳のピーク。
十勝へは美瑛のピーク踏まなくても行けるんです。
ここに行くとなると往復で30分弱。
先を急ぎたいところですが……
行っちゃえ!
荷物を置いて一眼だけ担いで頂上目指します。
すらすら登れますね。気持ち良すぎ。
羽が生えたかのようです!
十勝とをつなぐ稜線カッコ良すぎ。
何なんですこの山は。どれだけ私を楽しませる気なのか。
ゼブラ柄というほど雪渓は残っていませんがこれはこれで良いですね。
なんだかシャチに見えてカッコいいですよ。ゼブラ改めオルカ柄。
デカすぎて恐い。この深さ、ぜひとも見て感じてほしいですね。
御鉢平に感じるのと同じタイプの恐怖感。
それがたまらないのですけどね。
14:35 美瑛岳
美瑛岳登頂!
デポしたザックがあんなに遠い。
でもここまで10分もかからず来れました。
身軽な人間の移動は早い。
雄大過ぎるでしょう十勝連峰!
美瑛岳からの景観が素晴らしすぎますよ。
美しい美瑛町は美瑛岳まで美しかった。
とんだチート町ですよ。ますます好き。
ザック回収完了。
今度こそ十勝岳へ向かいます。
しかしいい寄り道でした( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
この眼福空間よ。
美しすぎてよそ見をしながら歩かないよう注意が必要です。
お花畑まで用意して至れり尽くせり。
稜線から見て
右と
左で全く景色の種類が違うんですから面白いですよね。
本当に贅沢な道を歩かせてもらっています。
思い切って十勝まで足を藻場して本当に良かった。
この十勝と美瑛を示す立て札、かなり狭い感覚でいっぱい立っています。
全部撮ってやろうと思って撮影しましたがあまりにも多いので3枚撮ったあたりで飽きました。
ガスってはいますが薄いので輝くモヤになって逆に幻想的。
そんな演出もできるのかい十勝。
ここは本当に日本か!?
北海道は国内の異国よ。そう思わせるくらい日本離れした独特で美しい自然に溢れています。
ダイヤモンド鋸岳。
この山もピークは踏まないのですがノコギリの名の通りギザギザと特徴的な稜線が非常に魅力的ですね。
本格的に砂利道になってきました。
足が沈み込むくらい砂利で満ちています。
この砂利の坂道がめちゃくちゃきつかった。
踏み込んでは砂利が沈んで後退し、踏み込んでは砂利が沈んで後退しの繰り返し。
砂浜を走る様な負荷のかかり方。
こういうタイプのキツさもあるんですね……。
オプタテシケ山縦走コースの藪漕ぎと言い、新体験の苦しさを色々と味わう縦走です。
で登り切ったらこの景色ですよ。
笑ってしまうでしょうこんなの( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
何ですこの堀の深さは。
デカい彫刻刀で山肌削ったかのようなね。
こんな景色そうそうありませんよ。
個性溢れすぎですわ十勝岳。本当に来てよかった。
そして十勝岳のピークを取るまでのラスト30分は最高に幸せな時間でした。
広い。
とにかく広い。
広くて、とにかく高いところにあるという事だけが実感として在ります。
高所ってせまいイメージありませんか?
山と言って想像するのは大体ピラミッド状のものですからね。
上に行くほど狭くなるイメージを持つのは当然ではあります。
しかし十勝は違うんですね。
高さの代償に広さを失うことがありません。
大地がそのまま浮遊したかのような広大さ。
それでいて雲より高いところにあるという高所感。
これだけの高さと広さを感じられる山はそうはないのではないでしょうか。
北海道最高峰の旭岳はその高さに、
大雪の奥座敷とも呼ばれるトムラウシはその道のりの困難さに、
それぞれ登頂の感動を覚えたものですが、シンプルに山のすばらしさで言ったら、私にとってはこの十勝岳がダントツかもしれません。
だってまだ登頂してもいないのに、そこに至るまでの道のりでここまで魅せてくれた山です。疲れる場面も多かったですがその苦労すらスパイスになる魅力の数々。
十勝岳には登ること自体の楽しさを教えてもらいました。
なんだかガスも晴れてきましたしね!
十勝岳の首下を覆って雲海のようになっています。
そんな雲の芸術を見ながらついに
17:20 十勝岳登頂!
十勝岳登頂!!!!!( ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )
登頂に合わせてすばらしい天気になりましたね!
夕方からこんな雲海に恵まれるとは!
さっき登った美瑛岳がもうあんなところにありますよ。
大雪山から十勝連峰まで足を運ぶ大縦走のフィナーレにふさわしい景色です。
本当にうれしい。
トムラウシまで行くことすら難しく思っていた私ですから、まさか十勝岳まで来れるとは夢にも思いませんでした。
結局はこうして天気にも恵まれて美しい思い出のままこの縦走を終えられそうです。
大荒れしたのもオプタテシケ山周りでのみ。それが本当にきつくはありましたが、心配していたトムラウシのロックガーデンや、縦走ラストを飾るこの十勝岳など、要所ではしっかり晴れてくれたのでこれ以上の贅沢をいう気にはなれません( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
強いて心残りを上げるならば君だよ上ホロ避難小屋。
立派な小屋に生まれ変わってね(・`_´・)
さあ、あとは無事に下山するだけ。
やり遂げた清々しい気持ちで十勝岳を後にします。
本当に非日常を感じさせてくれる山です十勝岳。
岩の道しるべ。
世界遺産だか何だかにこういう勝手に動く岩?的な名所がありましたよね。
異国のようだ北海道と先ほど言いましたが、この景色はもはや異星のよう。
地球離れしていますよこの景色。
惑星探査機?
私がただモタモタ登山していただけですが、期せずして夕暮れ時の下山になりました。
ふっ、もう美しくあってくれなくても大丈夫ですよ十勝岳。
しかし魅せてくれるというのであれば喜んで堪能させてもらいます。
本当にフィナーレを飾るにふさわしい山です。
3日間歩いてきて流石にヘロヘロでしたが、この美しさのおかげでまだまだ気力に満ち溢れています。
全くこの山はどこまでも……
十勝岳避難小屋が見えましたね。
19:20 十勝岳避難小屋
ここからあと1時間も下れば登山口ではありますが、日暮れ時に下山しても温泉もやっていないでしょうし、疲れた中でテント設営するのも面倒なのでこの山小屋で寝ようと思います。
ほぼ2泊3日で十勝岳まできましたね。
この日数はトムラウシ縦走時に設定したものなのですが意外と歩けるものです。
色々と反省点もあった縦走ですが、それ以上に夢物語だった十勝岳まで来れたことの嬉しさが大きいです。日本一周中、この北海道で今回のこの縦走を越えるような苦労や達成感を味わうことが果たしてあるのだろうか、と思うほどの濃い体験をすることができました。
北海道の山の美しさ、登山の楽しさ苦しさ。
嬉しいことも大変なことも余すことなく経験できた素晴らしい登山。
今回の縦走を糧にまた色んなことに挑戦出来たらなと思います。
完全に締めの文章ですがまだ明日下山のフェーズが残っていることも忘れないように。
一時間程度の下りとはいえ油断は禁物ですからね。
というわけで51日目終了です。
いい夢が見られそう( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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