2022-9-29
東北で一番楽しみにしていた登山が始まります。それが出羽三山縦走。
羽黒山(414m)・月山(1,984m)・湯殿山(1,504m)を渡る縦走です。
羽黒山は現世を守護する観音菩薩(現在)
月山は死者の赴く過去世を守護する阿弥陀如来(過去)
湯殿山は来世を守護する大日如来(未来)
この三山は神仏習合の時代、これらの仏様を本地仏としてきました。
今回の縦走では羽黒山→月山→湯殿山の順に渡っていきます。
え?
月山(過去)→羽黒山(現在)→湯殿山(未来)じゃないの?
との疑問が浮かぶ方もいるかも知れませんね。
出羽三山縦走は生まれ変わりの旅だと解釈すると飲み込みやすいと思います。つまり
羽黒山(現世)から月山(死して)そして湯殿山(生まれる)
という事です。この三山を駈ける修行は三関三渡の行と呼ばれます。
本日はその最初の一座、現世の幸を祈る山『羽黒山』へ参ります( •̀ᴗ•́ )
羽黒山へ
鶴岡公園
鶴岡公園からおはようございます。昨日は公園内の荘内神社を参拝してそのまま近くの東屋で寝たんでしたね。サッと撤収してまずは鶴岡駅へ向かいましょう。羽黒山からの縦走はそこから始まります。
鶴岡駅
という事で縦走のスタート地点である羽黒山随神門へのバスに乗るため鶴岡駅に来ました。
バスに乗ったら
揺られながらしばらく微睡みます。
今気づきましたがバスの前方に羽黒山の大鳥居が見えていますね。
40分ほどバスに揺られてバス乗り場『羽黒随神門』に到着です。
平日木曜日の8:30
人はあまりいません。
混まない程度に人が少ないのは登山でも参拝でもいい条件です。天気も良いですし参りましょうか。
末社羽黒山天地金神社
さっそく随神門をくぐって入山!
と行きたいところですがその前に神社が目に入りました。
それがこちら末社羽黒山天地金神社。
兵乱のためぶっ壊れたこの神社は1779年に羽黒山智憲院宥然によって再興。元々は『元三大師像』を祀っていたため大師堂と称していましたが、1964年に須佐之男命を祭神とした天地金神社となりました。現在の建物は2015年に解体修理されたものです。
縦走のスタート前に手を合わせていきましょう。
そうしたら随神門をくぐります。
随神門
この赤い山門が随神門。ここを境に人の世界と神域が分かたれているのです。ここをくぐれば三関三渡の行がいよいよ始まります。厳かな気持ちになりますね。
いざ神域へ!
君は いま! 出羽三山 への 第一歩を ふみだした!
随神門をくぐった瞬間からこの見事な杉よ。
ここから山頂までは約1.7kmありますが、そこに至るまでずっとこの杉並木が両側に構えています。
右側に284本。左側に301本の計585本が生えており、推定樹齢は300~500年を超える老杉ばかりです。データがめちゃくちゃ正確に記録されているんですね。当然というかなんというか国の特別天然記念物に指定されています。
百一末社
出羽三山には百一末社と称されるように数多の末社が存在します。私も道中、真に驚くべき末社を見つけたが、このブログはそれを書くには狭すぎるので割愛します(。◔‸◔。)
末社は画像だけ載っけましょうか。
祓川
祓川に掛かる朱い神橋。
かつての三関三渡の行ではこの祓川の流れで身を清めていたそうです。
穏やかな杉の緑に朱のアクセントがピリっときますね!
須賀の滝
社の後ろに流れる何とも雅な滝。
この滝は1654年に月山山麓呑沢からの約8kmを引水し、祓川の懸崖から流れました。
当時は不動の滝と名付けられたこの滝は神仏分離以降、須賀の滝と称されています。
川の流れは心が休まりますね。汚れが洗い流されるようです。
濁流はNO。゚(゚^ω^゚)゚。
爺杉
須賀の滝を越えてからは石段を登ります。
そして見えてくるのは天然記念物『爺杉』。
500本を超える羽黒の杉並木の中にあって『爺』の名を冠すだけあり、その推定樹齢は1000年を越えます。まさに森の長老。
ご立派ァ!
国宝『羽黒山五重塔』
お次は国宝『羽黒山五重塔』。
爺杉のすぐ近くにあります。
東北地方では最古の塔と言われ、平将門の創建との伝説が。現在のこの塔は約600年前に再建されたと伝えられています。600年前時点で再建ですからね。歴史の深みが察せられますよ。
細部手法には室町初期の特徴がよくみえるらしく、室町時代の五重塔を代表するものとされます。建造物の違いに疎いのでつくりを見て「この手法は……!」みたいな楽しみ方ができないのが惜しいところ(。◔‸◔。)
五重塔を後にして末社も手を合わせたら即前進。
二の坂
再び石段との戦いです。二の坂を登っていきます。
羽黒山の参道にある石段は全部で2446段ですからね。結構な運動になりますよ(꒪꒳꒪;)
二の坂茶屋で小休止。
三の坂
呼吸を整えたら戦闘再開。ラスト三の坂を登っていきます( •̀ᴗ•́ )
末社ラッシュ。
三の坂を登り切った所に現れました羽黒山の鳥居。元々は青銅の鳥居がありましたが戦争で供出されてしまいました。金属類回収令というやつですか。
その鳥居跡に庄内の生徒や学童の寄付によって建立されたものがこの鳥居です。子どもが寄付……? 鳥居の手前の坂を十五童坂といいます。十五は寄付した学童の年の頃ですかね?
斎館
鳥居の左手には斎館。
旧称『華蔵院』といい、1697年の再建である正穏院、智憲院と共に三先達寺院の一つです。明治の神仏分離の際に神社の『斎館』として残りました。
現在は三山参拝の参籠や精進料理を味わえる食事処として、また羽黒山伏による『冬の峰』においては参籠所として使われています。
蜂子神社
出羽三山神社の御開祖である蜂子皇子を祀っています。通りで末社にしてはデカいなと思いました。
羽黒山三神合祭殿
そして本日の大トロがこの羽黒山三神合祭殿です!
扁額には月山神社
湯殿山神社
出羽神社の文字が。
ここは羽黒山・月山・湯殿山の三神を合祀している神合祭殿。
本当にオタク丸出しの例えで申し訳ないんですけど「ジオウトリニティじゃん」と思いました。
山頂や渓谷といった参拝が容易ならざる場所に存在する月山・湯殿山は冬季に祭典を執行することができません。そのため三山の祭典は全て羽黒山で行われます。三神合祭殿がこの羽黒山に鎮座しているのも納得の理由ですね。ここは古くは本殿や本社などと称される羽黒修験の根本道場だったのです。
社殿は一般神社建築とは異なる独特なもので、一棟の中に拝殿と本殿が収まっています。てんこ盛り神社だ……。
祭殿の右側が修理中でしたが特に気にはなりませんでした。
鐘楼と建治の大鐘
なんてことなさそうな金ですが実はこれ1618年に再建された鐘楼で、山内では国宝五重塔に次ぐ古い建物。古鐘としても東大寺・金剛峰寺に次いで古い歴史あるものなのです。
参集殿
社務所。トイレを借りました(。◔‸◔。)
羽黒山霊祭殿
祖霊安鎮の山として先祖の御霊を祭ります。天井には「天女と竜」が描かれています。天女の住む天上界は8000年もの長寿が得られる世界とされ、龍神に守護されたこの世界に祖霊が昇天することを願う絵です。
しばらく末社ラッシュです。
コピペ?
と思ってしまうくらい同じ構図で笑ってしまいましたꉂꉂ(˃▿˂๑)
健角身神社
いやここだけ毛色違いますね。
雰囲気あるじゃないですか!
物供養もなかなか侵しがたいオーラが漂いますよね。
下駄を供えることで健脚を祈願する習わしがあるようです。
レストハウス・駐車場
羽黒山終点の駐車場に来ました。レストハウスはじめ売店でにぎわっています。
ここまで車でアクセスすることもできるので、羽黒山三神合祭殿を参拝するだけなら石段登ってこなくてもいいんですよね。一般的に参拝客のアクセスは車でここまで来るか、随神門を往復するかになります。
月山へ
私はここから下っていき、その足で月山へ向かうので一般的なルートからは外れてしまいますが(。◔‸◔。)
この画像の通り舗装路は自動車専用道路なので歩いて下ったら怒られます。
徒歩の場合はこの古道を進んでいきます。左のこの草むらが古道です。゚(゚^ω^゚)゚。
ちょいちょい舗装路と古道が交わるのではねられないように注意しましょう。
古道と言ってもそこまで荒れてもなく、このように道中建物も姿を現します。
人気はありませんけどね。このトイレとか今も使われているんでしょうか(。◔‸◔。)
たまに倒木あり。藪を漕ぐよりはマシです( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
荒澤寺
古道を抜けて山形県道47号に出ました。道路を挟んで向かい側には荒澤寺。
出羽三山の開祖、蜂子皇子が月山、湯殿山へ赴く際に修行したのがこの荒澤です。
参拝に来たのではなく道に迷ってこの寺に入り込んでしまいました。
古道の延長としてこの寺を突っ切るものかと思っていたのですが行き止まり。
迷っていても時間がもったいないので引き返し
おとなしく県道沿いに月山へ向かう事とします(๑-﹏-๑)
青看板にも月山の名前が出ていますね。
羽黒山自動車道の入り口。車で羽黒山に行く場合はここから進むわけですね。
月山ビジターセンター
だだっ広い……。さすが平日。
少し休憩をしましょう。ここからが大変な区間ですからね。
休憩が済んだらひたすら歩きましょう。もうここからは根性。技術も何もなくただただ歩くのみです。
というのも今日は月山の八合目まで行く予定なのですが、そこまで全部舗装路なんですよね。それがまた大問題というか(꒪꒳꒪;)
月山は初心者でも登りやすい山として挙げられることが多いのですがそれは車で八合目までアクセスできるからなんですよね。ただそこまで歩きで上がるとなると……。
月山三合目
体感五合目です。それが実際は三合目という絶望をかなうことならお伝えしたい……。
登山道であれば許される急傾斜も、車が通る舗装路となると迂回して傾斜を抑えなくてはいけません。つまり同じ標高を上がるのであっても舗装路だと距離がのびるという事ですね。
またコンクリの上を歩くというのがこれまた足に負担がかかる……!
常に斜面に対して並行で下向きの力が足に加わった状態で固い地面を歩くというのはかなり堪えます。゚(゚^ω^゚)゚。
月山四合目
体感七合目です。ここで気づいたキツイポイントは腰掛ける場所が無いという事。登山道であれば手頃な岩や木があるのですが舗装路にそんなものは望むべくもなく。
ガードレールはお尻が痛くなりますしね。
月山五合目
体感もう今日の寝床についています。普通に登山するよりキツイのですが(っω<。)
月山六合目
思考を止めます。ただ歩くのみよ。
ガスり、
日も傾いてきました。
月山七合目
もう足が棒です。
空には月が出てくる頃。
夕焼けは素晴らしいですね。
雲の彼方にうっすらと鳥海山が見えます。未踏の山は強大な敵ですが、登った山だと心強く感じます( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
チラホラと車が見えてきましたね。本当によく頑張った私……。
月山八合目
ということで月山八合目到着!!!
二度と歩いては来ません。゚(゚^ω^゚)゚。
いい夕景なのですが景色を楽しもうという気力もありませんでした。隅っこにテントを張って即食事。そして睡眠タイムです。これが三関三渡の行の過酷さ。思い知らされました。コンクリートにね:;(∩´﹏`∩);:
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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