下ノ廊下二日目です。
昨日は黒部ダムから仙人谷ダムを越えてここ阿曽原温泉まで歩いてきました。
黒部ダムから仙人谷ダムまでを下ノ廊下と呼び、ここからは水平歩道と呼ばれる道を行きます。
とはいっても一般登山客が利用できる駅である欅平駅までたどり着くためにはこの水平歩道を渡るしかないので、下ノ廊下といえばこの水平歩道も含めた黒部ダム~欅平駅までのことを指しますが。
水平歩道もこれまでと同じく、狭い断崖絶壁を歩いていくので求められる緊張感、集中力は変わりません。
気を抜いてはダメということですね( •̀ᴗ•́ )
二日目は6時前に起床。
朝ごはんしっかり食べてエネルギーを蓄えましょう。
ジップロックに移したカレーメシを戻して、そこに餅も入れようかと思ったのですが、ただ茹でただけの餅がそのままでも美味しくてペロリと行ってしまいました。
これが米本来の旨味……
山だと明らかに舌が敏感になっているような気がするのですが気のせいでしょうか。
7:00 阿曽原温泉出発
ここが阿曽原温泉のテントサイトです。
昨日はもうびっしりテントが敷き詰められていました。
危険な早朝散歩コース。
気を引き締めて参りましょう。
昨日今日と本当に天気に恵まれています。
朝日がとても気持ち良いですね。
8:20 オリオの大滝
オリオ谷の隧道を通り滝をかわします。
タタタッ
友人の足がはやい( •̀ᴗ•́ )
引きで見ると結構恐ろしく感じてしまいますが、既に何時間も下ノ廊下を歩いているともう恐怖は麻痺してしまってドキドキはしなくなります。
高いから怖い、というのではなく、下ノ廊下ではどこで落ちてもただ手は済まないので、ここは安心、ここは危険、みたいな場合分けが意味をなさない気がします。
どこもほぼ危ないので場所ごとに感じる恐怖心に差が無いといいますか。
ヒェッ
水平歩道といえば! な景色です。
水平歩道と検索すればいの一番に出てくるアングルの写真。
実際は道幅も余裕がありますし、歩行者視点からはそこまで恐怖をあおるようなところではないですね( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
9:25 志合谷トンネル入り口
このトンネルはーー
この水が流れているところ当たりに続いています。
トンネルは小さく視界は全く効きません。
が、ヘッドライトで照らされた水たまりは澄んでいて、チロチロと垂れてくる水の音も相まって非常にメルヘンな雰囲気で美しかったです( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
さあもうあとは体力勝負。
贅沢な話ですがここまで来ると危険さにも絶景にも慣れてしまって「もうそろそろ終わってもいいんじゃない(; ・`д・´)」みたいな気持ちに。
ずっと峡谷の中にいたので他の山々が見えるのが新鮮です。
ゴールは近い。
あああああと0.7km!!!
人工物!
人の気配を感じます!
はっ、あ、はあ!
11:50 欅平駅
到着!!!
ほんっとに感無量ですよ。
下ノ廊下に入る前日は「明日死ぬかもしれない……」くらいに思っていましたからね。
そんな気分になったのは剱岳以来のことで。
トラブルなくゴールまで来れたことがとてもうれしいです。
ソフトクリームも倍美味く感じます。
おニューのヘルメットもだいぶ傷ができました。
下ノ廊下はヘルメットが無かったら禿げます(=_=;)
一時間以上ダラダラしていました。
余韻に浸りまくりですね。
宇奈月までは電車で帰れます。
ここまで歩いてきたからこそ感じる文明の利器への感謝。
しかもただの電車ではありません。
トロッコ電車です。
オツ。
オツすぎるでしょうよ。
帰りの電車ですら面白い。
ああ黒三。
黒部川第三発電所がトロッコ電車から見えます。
これから向かう宇奈月から仙人谷ダムまでは『高熱隧道』の舞台。
それはすべてこの発電所で電気を生むための物語です。
本当にこの下ノ廊下というところは人と自然がーー
この先は締めの文に取っておきましょうか。
トロッコ電車から見られる景色はどれも素晴らしい。
疲労に陽気と爽やかな風も相まってうたた寝状態だったので音声解説を全く聞いていませんでした(๑-﹏-๑)
14:30 宇奈月駅
ここまできてようやく下山したなという気持ちになります。
疲れましたが清々しい気持ちです。
終わりに
2記事に分けて紹介させていただいた下ノ廊下、いかがだったでしょうか。
恐ろしくも魅力的で私としては大変満足のいく山行となりました。
年に1カ月と少ししか開通しないというプレミア感。
黒部峡谷という秘境ならではの景観の美しさ。
山道に、崖に、トンネル、果てにはダム内部とバリエーションに富んだルート。
このように下ノ廊下の魅力を引き立てる要素は色々ありますが中でも私は
『過酷な自然環境でのダム開発という人間と自然の格闘の歴史』
という技術者たちの戦地としての下ノ廊下に一段と興味を惹かれました。
もともと電源開発のために拓かれた下ノ廊下と水平歩道。
トンネル工事のために資材を黒部峡谷に運搬する歩荷たちの背負う荷物は非常に重く中には150㎏を背負う人もいたとか。
資材を運び込むだけでも命がけ。
トンネルを掘れば高熱の断層に破砕帯。
そんな場所を渡っていると、先人たちの偉業に思いを馳せずにはいられません。
豊かな自然を楽しむトレッキングに加えて、歴史も楽しむことのできる下ノ廊下。
2日間だけの山行ではありましたが間違いなく私の人生に刻まれる濃密な体験をさせてもらいました( •̀ᴗ•́ )
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