2023-7-27
昨日、赤牛岳にまで足を伸ばしたことで行動時間が大幅に増加。寝る時間も遅くなって今日の行動開始時刻は7時となりました。縦走においてはちょっと遅い出発時刻。計画的にはこの時間に活動を始めても十分槍ヶ岳までは行けるのですが……
夏山は午後、荒れやすいのです(▼‸▼)
そんな午後の悪天候にまんまとやられた縦走三日目、ご覧ください。
裏銀座縦走三日目
7:00 三俣山荘
昨日の予定外の赤牛のために今日の行程が2時間遅れています。寝るのが2時間遅かったので起きるのも2時間遅れです。寝不足は熱中症も招きますから睡眠時間だけは削れませんね。
テントを撤収したら行動開始です。水も満タンにしていきましょう。三俣山荘は水がとても豊富。テント場には小川が流れています。この水がまた美味いんですよね。北アルプスのオアシスですよここは。
水場の小沢沿いに三俣蓮華岳へ向かって進んでいきます。鷲羽岳のこの迫力よ。麓の三俣山荘もはっきり見えますね。山荘からテント場まではハイマツ帯をくぐっていかないといけないのが少し面倒でしたね(。◔‸◔。)
縦走三日目の今日はいよいよこの槍ヶ岳の頂に立つ予定です。こんなところに本当に到達できるのかと疑ってしまうような山容です。槍ヶ岳に至る西鎌尾根は最後の方こそ大登がありますが、鎖場の連続するような岩場は少ないので、時間はかかりますが歩きやすいのが裏銀座の特徴。油断せず、しかしそこまで気負うことなく槍の頂を目指すとしましょう。
三俣峠からは三俣蓮華岳を越えていく稜線コースとお花畑を楽しめる捲道コースがあります。稜線歩きを楽しみたいので三俣蓮華岳に登ります。
8:00 三俣蓮華岳
三俣蓮華岳、登頂!
三俣蓮華は長野、岐阜、富山の三県境となっている山で北アルプス最奥の山の一つです。
山頂は平日の朝から大賑わい。こんなにいい登山日和も中々ありませんね。
三俣蓮華からの鷲羽岳カッチョよすぎますね(⋈◍>◡<◍)。✧♡
これは水晶岳か。水晶は山頂ガスってたこともありあまり印象に残っていません。それよりも水晶から奥に続く……
赤牛ィ……!
この山の印象が強すぎます。全く手のかかる暴れ牛でした。゚(゚^ω^゚)゚。
薬師岳の存在感バツグンですね。この山もカッコよすぎる。
いつか登ってみたいものです( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
とりあえず優先は槍ヶ岳。いま、会いにゆきます。
三俣蓮華から見ると捲道と稜線が一目瞭然。左の捲道、コースタイムを確認すると稜線コースと大して時間変わらないんですよね。めちゃくちゃ近道というわけでもないなら稜線で行きます。
三俣蓮華を発って稜線歩きを楽しみながら次は双六岳を目指します。
緩やかな下りを経て鞍部に到達したら今度は丸山への登り返し。
なんて幸せな時間でしょうね。北アルプスの稜線歩きは最高すぎます。日本にこんな場所があるなんて( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
というか右の山、
形がめちゃくちゃ面白いですね。こんな台形の山頂を持つ山ちかくにあったかな? と調べてみるとこれは百名山の一角『笠ヶ岳』。一度焼岳から見たことがありますがその時は綺麗な三角形の山頂だったのでこれが笠ヶ岳だとは気づきませんでした。
笠ヶ岳もなかなか登りにくい山なんですよね。北アルプスの主稜線からは離れていてまるで独立峰かのようにどっしり構えており、唯一これから向かう双六岳と尾根が繋がっているだけです。槍ヶ岳に登るのでなければ笠ヶ岳に舵を切るのも全然アリでしたね。
どの山も素晴らしくって目移りしてしまいます。こんなに景色を楽しみながら山を歩けることはそうそうありません。どの山も他所に行けば主役になれる名峰ばかりですからね北アルプスは( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
ゆるやかな登りを行くと双六岳はもうそこ。
いいポーズで立っていてくれますね双六山頂の人(๑•̀ᴗ- )✩
9:30 双六岳
双六岳つきました。
槍まではまだまだありますが大分と近づいてきた印象です。迫力が増しています。
双六からの槍の眺めは格別の一言!
これぞ槍へ至る道よ。裏銀座コースの大トロ部分です。素晴らしすぎる( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
正面に槍
少し右に穂高
振り返れば鷲羽、水晶、赤牛。
何とも贅沢な砂礫地を歩きながら双六岳を後にします。本当に眼福ですね。
ハイマツ内の急坂を下って行くと双六小屋が見えてきます。
10:50 双六小屋
双六小屋に到着!
ここは双六岳と樅沢岳の鞍部にある小屋で、名ルートが交わる北アルプスの交差点。黒部五郎岳や笠ヶ岳登山の拠点にもなる小屋ですね。
ここから槍ヶ岳まで小屋も水場も無いのでしっかり補給していきましょう。ここも三俣山荘と同じく水が豊富です( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
小屋内には自販機も置いてあります。
HPを全回復させてもらいましょうか(▼∀▼)
鞍部にある小屋ですがなかなか見晴らしも良いです。鷲羽もクッキリ。
三俣山荘も確認できますね。
双六小屋の居心地が良すぎて離れ難いのですがあまり長居してもスケジュールが詰まります。行きますか……。
まずは双六小屋の目の前にある樅沢岳を越えます。
12:10 樅沢岳
サクッと樅沢岳。読みは「もみさわ」です。「たてさわ」じゃないよ!
離れたところにもう一つ標識。
樅沢岳を越えるといよいよ西鎌尾根が姿を現します。肝心の槍ヶ岳は頭を雲に突っ込んでしまっていますね。
西鎌尾根までも油断はできなさそうな道ですね。雲行も怪しくなってきましたから急ぎたくなりますが慎重に行きましょう。
言ったそばから大雨が降ってきました。不承不承ながらカッパを着ます。着たら止むんですもん山の雨は。゚(゚^ω^゚)゚。
案の定雨脚が弱まってきました。しかし暗雲は晴れないので用心してカッパを着たまま行動を続けます。
硫黄尾根の荒々しい褐色の岩肌が撮れたので良しとしましょう。槍ヶ岳の御前にそびえるこの赤い山とてもカッコいいです。
再びガスで覆われてきました。雨は落ち着いているのですが雷鳴がチラホラ。予報を見ると槍ヶ岳周辺はかなりの発雷確率です。ううむ……。
雷雨の西鎌尾根
さてどうするか。西鎌尾根ふくめて槍ヶ岳は完全に雷雲の中です。このまま進んで良いものかどうか。ただの雨なら進むのですが雷が伴うとなると腰が引けます。今いる場所はかなりだだっ広い場所なのでテントを張ることもできますが、結局ここも雷雲にのまれればリスクがあるのは同じことなのでは? となると双六小屋に戻るのが最善のように思えますがこれは、面倒、くさい……!
すでに双六小屋を発って二時間ほど。それを今から引き返す……!?
同じ時間をかければ槍ヶ岳に着けるのでは?
そう考えると中々決心がつきません。どうしようか迷っていると槍ヶ岳側から降りてきたおばさんが来たので挨拶をしてお話を伺う事に。
西鎌尾根の方、雷どうでした?
近くでは雷ならなかったね
燕岳方面から鳴っていたかな
でもこれから荒れると思うよ~!
ぐぐぐ……行くべきではない方に天秤が傾きました。しばらくおばさんと世話話をした後お礼を言って解散。再びシンキングタイムです。
雷、夏山の午後はこれがあるから困ります。槍ヶ岳は縦走中ずっと午後には雲に隠れていたんですよね。今日も午後は曇るだろうなくらいには思っていましたがまさかこれほどの雷ラッシュになるとは。
あまり思考に時間を使っていても仕方ありません。そのうちここも雷雨にのまれるでしょうから。まず第一にここでのビバーク(緊急的幕営)案は無し。落雷のリスク回避にならないのと指定地以外でのテント泊は顰蹙を買いますからね。ブログに書けなくなってしまいます。
となると進むか戻るか。もうこういう風に考えている時点で進むことにリスクを感じてしまっています。となると双六小屋まで戻る一択。この選択を妨げているのは
来た道もどるの面倒くさい!
の念だけ。これは
「安全を取って撤退した」という記事にできるか
と思って飲み込むことができました。撤退って今までしたことなかったんですよね。これからも登山は続けていくでしょうから目の前の頂に誘惑に勝って安全を優先する「勇気ある撤退」という経験をしておくことは価値があるかもな、と自分を納得させました。日本一周の冒険の一環としてやっているこの裏銀座縦走的にも多少こういう予定外の出来事があった方がハリがあるでしょうし。
と言い聞かせて撤退。本心は
面倒くさ!!!
です。゚(゚^ω^゚)゚。
双六小屋まで撤退!
引き返した途端ふたたび雨脚が強くなってきました。リスク回避のための撤退ですから双六小屋に戻るまでにけがをしては本末転倒ですね。足を滑らせないように慎重に進んでいきます。
20分ほど歩いたところで先ほどのおばさんに追いつきました。
やっぱ西鎌いくのやめました(^-^;
ナイス判断!笑
ここからはおしゃべりしながらおばさんと一緒に行動して双六小屋へ向かいます。おばさんは実は山小屋ボランティアの方で、今日はお休みをもらったので双六~槍を往復しに行ったんですって。なんと心強い。やっぱりこういう時は誰かと行動していると元気づけられますね。
そんな風に豪雨の中を歩いていると視界にチラチラと動くものが見えます。これはーー
ライチョウいますよライチョウ!
え、写真撮りたい!
ライチョウが姿を現しました。雷の日に姿を現すとはまさにサンダーバード。カメラが雨に濡れないように体で覆いながら構えてライチョウを追います。
足がはやい!。゚(゚^ω^゚)゚。
つかず離れずの距離を維持しながらライチョウを追って写真を撮ります。
二羽に増えた!
ようやく動きを止めてくれましたね。
ライチョウを追っていたらいいペースで山を登ることができました。雷雨の中を先導してくれてありがとう( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
再び双六小屋の姿を視界に収めます。まさかこんなに早く再開することになるとは。゚(゚^ω^゚)゚。
15:00 双六小屋帰還
無事着いたね
ですね。全身ビッチョリですが……
全身濡れてしまいました。双六小屋に宿泊すれば乾燥室が使えるのですが小屋泊なんてそんな贅沢はできません。テント泊の受付をしに行きます。ここも一張2000円です。
夕方になると雨が上がるのもいつものパターン。槍ヶ岳に至れていたならいい夕焼けが見られたかも……
いや、たられば言っても仕方ありません。私は私にできる最善の選択を行う事ができました。今日はリスクを犯すようなシチュエーションではありませんでしたからね。安全第一。
早いうちに寝て明日こそは日の出には出発できるようにしましょう( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
ここまで読んでくださってありがとうございます。
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