【109日目】八つの峰と多くの田『八甲田山』(2022-9-4)










“天はわれらを見放した”

八甲田山死の彷徨(新潮文庫) 神田大尉の言葉より
目次

東北での初起床

合浦公園からおはようございます。
野宿のはずなのにこの賑わいよ。

昨日はぎんりんさんと二人での野宿のはずでしたが、偶然にも同じ公園にナツカさんとだいちさんもやって来て非常に楽しい野宿となりました。

こんなことはこの旅でもう二度とない気がします。

ここからは各々別のルートをたどって東北を回っていきます。
私は今日は東北第一座目となる『八甲田山』登山!

青森駅から8時ごろに登山口へ向かうバスが出ます。
まだ今日の行動食なども買っていないので名残惜しいですが先に出発します。

まあ




またどっかで会うんじゃないですかね( •̀ᴗ•́  )


これだけ再会を繰り返すと別れの悲壮感は皆無。
いつかの再会のためにお互い元気に旅を続けていきましょう( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

ではまた!







4kmほど軽くサイクリングして青森駅に到着。
コンビニで買い物も済ませたのであとはバスを待つのみです。

バス到着。
はい、東北登山初手から公共交通機関使っていきます。

甘えさせてくれ……!

岩木山は自力で行きますから。゚(゚^ω^゚)゚。

というのも青森県の百名山である岩木山と八甲田山の間に今私がいるんですよね。
どっちかに自転車で行くと往復して戻ってから次の山に向かわないといけないのでそれはちょっと面倒だな、と( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

お楽しみの東北地方ですが北海道ほど悠長に構えてはいられません。冬が来る前にはこの地方を脱出しないと命にかかわります。

という事で公共交通機関が使えるところはバンバン使っていきますよ。

追記

この時はそう思っていたのですがね……。゚(゚^ω^゚)゚。
(東北脱出前の2022-10-21現在)

バスに揺られてやって来ました酸ヶ湯!

江戸時代前期の1684年(貞享元年)の開湯と伝承されます。
そのころから数えれば300年以上の歴史を誇る古湯となりますね。

『およそ三百年前の貞享元年(1684)横内(現青森市内)に住む狩人「長内佐ヱ門四郎」が鹿をしとめそこない、その手負いの鹿を追って山へ入った。

それから3日後に発見したが、傷を負っていたはずの鹿があっという間に岩山を駆け上がり逃げ去ってしまった。その俊敏さをみて不思議に思い、付近を探索したところ温泉が湧いているのを見つけた。その後、その温泉に薬効があることを知り「鹿の湯」と名づけ利用した』

酸ヶ湯温泉にはこのような由来があります。

江戸期より湯治客が多く、現在の大浴場「熱の湯」の周辺に数ヶ所お湯が湧き出しており、地元の者がそこに小さな小屋を建て、山菜取り人や狩人らに温泉を開放していたそうです。そういった小屋主(湯主)らが協力して組合を設立したのが「酸ヶ湯」の原形となりました。最初は湯治棟しかありませんでしたが、その後旅館部等を増改築し現在に至っております。

引用元 https://sukayu.jp/history/

八甲田山酸ヶ湯温泉コース

9:40 登山開始

この何とも贅沢な温泉からスタートし、仙人岱経由で八甲田山山頂に至り、毛無岱湿原経由で戻って酸ヶ湯を楽しむという周遊ルートで行きます。下山して即温泉に入れる、これ以上の極楽はありません。

東北一座目に相応しい青天!
お天道様ありがとう( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

とはいってもここは北東北。
標高こそ1500mほどですが悪天候時にはアルプス並みに気温が低下します。油断せずに行きましょう。

怖い怖い。

八甲田山は大岳を主峰とする複数火山の総称。
火山性の有毒ガスが湧くこともあるでしょうね。

破壊の跡といった感じの風景。
何故こんな景観になるのか。雷……?

吸い込まれそうなこの青空!!!
最高の天気ですね!

景色も美しい!!!
谷間に巨岩がゴロゴロと。

こういうダイナミックな風景が火山の醍醐味ですね( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

この沢は地獄湯の沢と呼ばれています。
硫化水素ガスや炭酸ガスを噴出しており、それによって岩は崩れやすく変質。
普通の植物は生息することができず、硫気ガスに強い植物だけが生えています。

八甲田山はまだ生きているのです( •̀ᴗ•́  )

しかし日差しを遮る雲もないくらい天気がいいので非常に汗をかきます。
沢の水でタオルを濡らしてかぶりましょう。

久しぶりに夏を感じますね。

しかし楽しい!
どんな美しさですか八甲田山!

ここは仙人岱と呼ばれ、以前は湿原でした。
しかし登山者に踏み荒らされたことで消失。
今は小岳寄りにわずかに残るだけとなっています。

モリアオガエル、ヤマアオガエル、イモリなど八甲田山中に生息する両生類の多くが見られます。
が、私はあまり爬虫類好きではないので特に探しもせずにスルー:;(∩´﹏`∩);:

10:40 八甲田清水

水汲みますか。
水の消費が激しいですが水源も豊富なのであまり苦ではありません。

この絶景がどんどん近づいてくるので足取りも軽くなりますね。

このアオモリトドマツの見事な事よ。
今見えているこの山は硫黄岳ですが、よく見ると右側だけトドマツがフッサフサで、左側は生えていませんね。これは左側の方が残雪が多いためです。雪の残り方で植生がこんなにわかりやすく変わるんですね。

この八甲田山に限らず、植物の知識がなくとも感じられるその山ならではの雰囲気というのは絶対に科学的理由があるんですよね。それをすべて調べて網羅できないのが惜しい……。

今気づいたんですけどカメラのレンズ曇ってません!?(๑-﹏-๑)

決して高い山ではないのにこの高度感。
鳥の視線ですよこれは( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

池が良いアクセント。
さっきのトドマツの話を思うと残雪がどこに溜まりやすいのかうっすらとイメージできますね( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

うすーくガスに包まれてきました。
頂上はもうすぐですからもう少し天気耐えてくれッ!

鏡沼。
爆裂火口に水が溜まったものでカエルやサンショウウオ等、両生類の住処。
青森県では最も標高の高い、両生類の産卵場です。

そうして登り続けると……

11:20 八甲田大岳山頂

登頂! 八甲田大岳山頂!

ということで日本一周東北編、最初の一座となった八甲田山です。
八つの峰に点在する田、故に八甲田山。

その名の通り木々に湿地に瑞々しい自然に囲まれた山でしたね( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

のどかなシーンばかりでなんてことのない登山のようでしたが、実はトムラウシや幌尻岳と同じくらい恐れていた山だったりします。





それは冒頭で引用した『八甲田山死の彷徨』の影響。
日露戦争を前にした日本軍が行った研究的雪中行軍で起きた悲劇を、山岳小説家として著名な新田次郎氏が執筆した作品です。

モチーフとなった八甲田雪中行軍遭難事件は実際にありました。
冬季の八甲田山を地元民の案内人もつけず、また装備・心構えともに不足した状態で行軍するという無謀なもの。参加者210名中199名が死亡するという世界で見ても最大級の山岳事故です。

この小説は本当に恐ろしくて:;(∩´﹏`∩);:
山に登る人間なら誰しも内臓つかまれるような恐怖をこの本からは感じるのではないでしょうか。


青森歩兵第5聯隊の責任者神田大尉はいくつかあった生死を分けるターニングポイントで適切な判断を下すんですけど、雪中行軍に随行した自らの上官にあたる山田少佐に指揮権を奪われて自分の意思を通せなくなるんですよね。そうやって一つ一つ生存ルートが潰されていく描写が、もう、ネ。

まあ私が今回通ったルートは八甲田雪中行軍遭難事件のルートとはかすってもいないのですが。
雪中行軍隊の通った旧道は今や跡形もなく、近くには立派な自動車道が走っています。

茶屋かな?

ササっとお腹を満たして下りますか。
早く酸ヶ湯温泉に入りたいです。

12:00 大岳鞍部避難小屋

立派な山小屋だ。北海道ではなかなかこんな小屋にはお目にかかれませんよ。
立派な小屋が無いというわけでは無く、そもそも小屋があまり置かれていない印象です。

こんな優しい顔した山も冬には誰も生きることのできない死の山と化すんですねぇ。

“だいたい山というのは優しい姿をした山ほど恐ろしいものだ”

八甲田山死の彷徨(新潮文庫) 村山伍長の父の言葉より

われわれはそんな山の一部を触らせてもらって遊んでいるにすぎません。
自然への畏敬の念は忘れるなという事ですね。

最高の休憩場所でしょうこんなの。
こういう景色を見るために山登りしているんだよなと再確認できました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )

美しッ!!!

本当にいたるところに田(水たまり)のある山だ八甲田山。
名前も含めていい山ですねここは。

歩くのが楽しすぎます。゚(゚^ω^゚)゚。

楽しい時間はあっという間よ。
酸ヶ湯が見えて来ました。

登山口に到着!
これにて!

13:15 下山

八甲田山下山しました!
お疲れ様です!

コースタイムは4時間もかかりませんでしたね。
手軽で絶景、良い山だと思います。

恐怖の山としてのイメージは払しょくされました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
だいたい山は冬季はどこでも怖いものです。

八甲田の古湯『酸ヶ湯』

さあ下山したらご褒美の温泉です!

この酸ヶ湯は映画『八甲田山』の撮影は、酸ヶ湯を基地に行われたのだとか。
映画の八甲田雪中行軍は見たことないんですよね。興味はありますが(๑-﹏-๑)

高価ッ!!!

ってちょっと思ってしまいましたよね。
1000円か……まあ下山後の風呂欲には抗えません。

『ビバ!千人風呂』に見えて「テンション高……」と思いましたが『ヒバ千人風呂』でした(。◔‸◔。)

ヒバはヒノキ科ヒノキ属の常緑針葉樹の檜葉のこと。
この千人風呂にも青森県産のヒバがふんだんに使われています。

おっ、プチねぶた!

昨日ワ・ラッセで大層気に入った鍾馗じゃないですか。

あわせて読みたい
【108日目】さらば北海道! ただいま本州! ねぶたの歴史『ワ・ラッセ』と青函連絡船『八甲田丸』(20... 私の日本一周旅、その2/3を過ごした北海道最後の日です。 この試される大地に別れを告げ、再び本州の旅に戻ります。 名残惜しいこの北の大地。 本州へ向かう船の上で何を思うのでしょうか さみしいねぇ。゚(´つω•`。)゚。





風呂行ってきます。





かーっ!
いいお湯でした( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

千人風呂は混浴なんですね。
まあ男湯と女湯の間には仕切りがあるので混浴っぽさはあまりありませんでしたが。

あと予想外だったのが千人風呂は石鹸の類が使用できないところ。
完全にお湯を楽しむためだけの温泉で、体洗ったりするのは『玉の湯』に行かないといけません。
こちらにはシャワーもありました。

登山後の温泉は全ての気力を持っていきますね。
バスに乗って青森市内に帰るのが超億劫です(๑-﹏-๑)

しかしここで泊まる様なセレブな旅はやっていません。
15:48のバスで市内に戻りますよ。

青森市内帰還

1時間ほどバスに揺られて戻って来ました青森駅。

無事だったか相棒。
下山後のかなり面倒くさい荷造りを終えて出発します。

もう17時過ぎ。
今日はどこで寝ましょうかね。

ベガスに迷い込んでしまいました

手頃な公園を求めて夜の青森をさまよいます。
まだまだ暖かいのでどこでも寝られますね。

秋も深まってくるとそうもいかないのでしょうけど(꒪꒳꒪;)
それではまた明日( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )









よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次