【富嶽三十六景旅④】撮影ラッシュ! 富士を追う海岸線(富士→川崎)

早起き、運転、登山、撮影。朝から休むまなく撮りまくりの一日でした。今日だけで7か所の富嶽三十六景スポットを回りましたからね。巡ったスポットが多い分、ひとつひとつが薄味になっている感は否めませんがそういう日もあるか……。遠征のラストが富士山登山と決まっている以上冠雪する前に富嶽三十六景めぐりは終えなければならないのでチャキチャキ参ります!

目次

リベンジ「東海道江尻田子の浦略図」ふじのくに田子の浦みなと公園前

2025-7-29

快活クラブからおはようございます!

そしてようやく姿を見せたか富士山ッッッ!!!

昨日は「Global Ride」さんへ寄稿する記事の取材のために富士市を走り回りましたが、肝心の富士山はずっと雲の中。そんな撮れ高では見栄えのいい記事にならないな、と消化不良だったのです。

しかし今日晴れてくれたならまだリカバリーが効きます。次の街に移る前に車で昨日取材したポイントへひとっ飛び。

ふじのくに田子の浦みなと公園前にある「東海道江尻田子の浦略図」パネルへ急行です。いや素晴らしい景色。やればできるじゃないですか富士山!!!

本家「東海道江尻田子の浦略図」に負けず劣らずの美景に大満足、みたいに言うと手前味噌でしょうか。思わずそんな感想が出てしまうほどお預けを食らってきた期間が長かったのです涙。

「東海道江尻田子の浦略図」には、海で格闘する漁師たちの姿が近景に、浜辺では塩田で働く人々の姿が描かれています。富士山は裾野を雲に隠しながらも堂々とそびえ、変わらぬ自然の象徴として背景に構えています。現代の田子の浦では、かつての塩田は姿を消し、代わって港湾施設や発電所が立ち並ぶばかり。しかし、自然と人工物が同居するその光景は、まるで現代版の「東海道江尻田子の浦略図」といった趣で、味わい深いです。

田子の浦は現在、JR吉原駅の近くにある港を指しますが、古くは静岡市清水区の蒲原あたりの海岸を指していたともいわれます。そのため、最初の取材ではその古い呼称に引かれて蒲原海岸を訪ねたのでした。

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せっかくの富士山です。ふじのくに田子の浦みなと公園の展望台「富士山ドラゴンタワー」に登ってこの朝日の景色を楽しもうと思います。

デカく美しい富士。日本一の山は伊達ではありませんね。

すぐ近くには愛鷹(あしたか)連峰。一番左にあるのが富士見の山として名高い愛鷹連峰の最高峰「越前岳」です。おそらく今回の遠征で登ることになるでしょう。

いい朝でした。次にこの場所に来るときはゼロ富士のスタートを切るとき、でしょうかね。再びまみえる日を楽しみにしています。

リベンジ「駿州大野新田」浮島ヶ原自然公園

「駿州大野新田」の浮島ヶ原自然公園へもリベンジ。車で移動するとあっという間です。文明の利器ってスゲー!

地面いっぱいにカニがいてびっくり

できることなら自転車で移動しているときに撮りたいものですが、自然相手の取材、そうそう上手くいくはずがないので自転車+車の利点を生かしてうまくカバーしていきましょう。

さて昨日は敗北したここからの葦越しの富士、今日は……

大勝利! おめでとうございます!

駿州大野新田の写真は昨日のものからこれに差し替えです。いい画が撮れて一安心。

これらの取材を行って寄稿した記事は以下のリンクからご覧ください(^^♪

Global Ride
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「相州箱根湖水」芦ノ湖

なんとかリカバリー効いたので富士市を後に次のエリアへレッツゴー。ネクスト富嶽三十六景は「相州箱根湖水」。舞台は芦ノ湖です。

つまりは箱根峠越え。馬力の小さい軽トラではちょっと不安な道のりです。行くしかないのですが。

トラブルなく芦ノ湖に着いて一安心。そして本日絶好調の富士山。大変ありがたいです。

東京富士美術館:https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06206/

当時は「芦ノ湖」よりも本図のタイトルにもある「箱根湖水」の名称が一般的だったと思われるこの湖。箱根火山の噴火で生まれたカルデラ湖で、古くから富士山を望む絶景地として知られます。かつては東海道の箱根関所が湖畔に置かれ、江戸防衛の要として人と物の往来を厳しく取り締まった歴史があります。

画面中央やや右に見える建物は箱根神社。

写真ではちょうど赤い鳥居が見える画角になっています。早朝に撮影すれば絵と同じような「すやり霞」が見られたかもしれませんが、まあこれ以上は望みすぎというものでしょう。すやり霞自体、画面に余白を持たせるための絵画的手法というだけで、写実的表現ではありませんし。

「相州梅沢左」吾妻山公園

芦ノ湖だけで一日過ごせそうな面白スポットではありますが、次がいくつも控えているのでネクスト富嶽三十六景スポットに参りましょう。

東京富士美術館:https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06259/

お次は「相州梅沢左」。相州梅沢は現在の神奈川県中郡二宮町山西付近のことです。しかし「左」が何を指すのかはイマイチよく分かっていないので、「梅澤在」か「梅澤庄」の誤刻であるという説が一般的です。

鶴に富士山というおめでたいモチーフが描かれたなんだか正月の気分に似た気持ちのいい一枚。鳥と山のみが見られる秘境感あふれるロケーションの絵ですが、実際の相州梅沢は東海道の大磯宿と小田原宿の間にあった立場と呼ばれる休憩場所でたいそう賑わいのあるところだったようです。

そんな「相州梅沢左」を求めてまず通りがかったのは「フルサワ印刷株式会社」。

こちらは壁に「相州梅沢左」が描かれているというなんともお洒落な建物です。

そのあとは実際の富士山も見たいということで「吾妻山公園」へお散歩に。

この公園、普通の公園気分で訪れると大バテ必至。吾妻山、というだけあってほぼ登山です。

15分ほど歩いてようやく登頂。

公園で「登頂」って……国立自然公園のほうの公園だったかな?

そこそこ登らされたかいあって山頂はなかなかの展望。海と小田原の街が見下ろせて気持ちがいいです。

肝心の富士山はちょっと雲がかかってきました。そろそろ時間切れみたいです。次のスポットではもう雲に隠れてしまいそうですが一応行ってみましょう。

「相州仲原」新大縄橋

東京富士美術館:https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06199/

「相州仲原」のスポットに到着。相州、すなわち相模国の仲原は現在の神奈川県平塚市中原にあたります。画面中央の標識は大山(1,252m)への道標。平塚から大山に向かう街道で川を渡るとなると本図の川は渋田川の可能性が高いです。であればその周辺の橋から富士山を見ればこのような画面になるかもしれません。

新大縄橋より

全然なりませんね。

富士山は見えるといえば見えますが、もう大分と遠くかすんでいます。これからは東京方面に向かうのでもう富士山から離れるばかり。肉眼では絵のような迫力ある富士は拝めないかもしれません。また山梨や静岡に近づいてからのお楽しみですね。

「相州江の嶌」江の島

さあ今日一日でどれだけの場所を回るのやら。お次は「相州江の嶌」の名の通り江の島です。ドメジャーな観光スポット。できるかぎり車で近づきたくはないのですが、ここはまだ駐車が容易なのでそこまで面倒くさがることはありません。これからどんどん都心に近づいていくのでもうそろそろ車を停めるのも容易ならざるエリアに入っていくでしょうけど汗。

東京富士美術館:https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06151/

現在は江の島大橋・江の島弁天橋で容易に行き来できる江の島ですが、北斎の時代は引き潮の時のみ対岸の片瀬海岸と地続きとなり歩いて渡ることができました。本図はそんな引き潮時に砂州を渡って江の島へ行く人々を描いています。

北斎に限らず、七里ヶ浜から江の島と富士山を望遠の画角で捉えるというのは定番の構図だったようです。しかし七里ヶ浜は後述の「相州七里浜」で描いているので、ここではドデカい江の島と遠方に佇む富士を対比させる構図を選んだのかもしれません。

江の島は私も何度か訪れたことがありますがここまで暑いのは初めてです。

この日陰と日なたのコントラストのエグさよ。烈日極まります。

有料のエスカレーターを利用したくなりますが、遠征の最後にはゼロ富士をやろうという人間が階段ごときを面倒くさがっていては先が思いやられるのでモクモクと上っていきます。

景色は素晴らしいですが晴れ過ぎていても困りますね。生きづらい季節になったぜ夏。

江の島サムエル・コッキング苑の日陰のあるところをぶらぶらと散策。

江の島シーキャンドルの展望台は有料でしたか。普段ならスルーするところですが撮れ高を考えると展望台からの写真は欲しいですね。撮れ高に行動を支配された悲しきブログモンスター……。

ということで展望台です。涼しいしOKということにします。ここからでも眺めは良いですがせっかくなら屋外の展望フロアで撮りましょうか。

グッド。江の島から望む片瀬海岸・七里ヶ浜、良い景色です。

三浦半島もバッチリ

駐車場も丸見えです。私のサンバーは建物に隠れて見えませんね。

南側に見えるのは大島かな?

小田原方面

う……っすらと輪郭だけ富士山が見えます。富士山だよね? 雲というより空気の層でかすんでしまっている気がします。冬場や朝方ならこの距離でもきれいに見るのかもしれません。

展望台を降りてざっくり江の島を回ったらおさらば。

一応片瀬海岸側からもパシャリ。展望台でギリ見えた富士山ですから今日はもう片瀬海岸からは写せないでしょうけども。

しかしこれだけ暑いと海水浴の誘惑も強まる……。江の島だけを目的に来たなら一日中遊べるんですけどね。しかし残念、今日はまだ取材をしなければ。

「相州七里浜」七里ヶ浜

七里ヶ浜

先ほども少し触れた「相州七里浜」の七里ヶ浜はすぐ近く。

東京富士美術館:https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06265/

七里ヶ浜から望む江の島と富士山といえば定番の構図ですが、北斎の「相州七里浜」はその中でも特異な一枚です。まず不思議なのは距離感。前作「相州江の嶌」よりも富士山から離れているはずなのに、こちらでは富士山がむしろ大きく描かれています。望遠の画角で切り取ったとすれば理屈は通るものの、今度は江の島があまりに小さい。画面左端の小島がそれにあたると見られます。

さらに特筆すべきは、江の島を描いた浮世絵にしばしば見られる砂州を渡る人々の姿がここには一切ないこと。加えて、七里ヶ浜そのものも手前の丘でほとんど隠され、海岸線の“らしさ”が抑えられています。つまり北斎は意図的に「定番の構図」から外しているのです。一説にはこの作品が中国的な山水画の構図を意識して描かれたというものがあります。

写真で撮るとこんなにも江の島の主張が激しい。この画角から富士山の方をデカく描くというのはパンピーのセンスでは考えつきません。発想として富士山をメインに据えようというアイデアが出たとしても、同じくらいデカい江の島が左に見切れるように描いてしまいますね、私なら。凡夫、ってコト!?

今日の取材はこの七里ヶ浜までにしておきますか。田子の浦の取り直しまで含めたら7か所も回っています。さすがにハイペースすぎて疲れました汗。

神奈川は駐車場が高すぎる

七里ヶ浜を発って川崎市までやってきましたが駐車料金の高いこと高いこと。今日は川崎にいる学生時代の友人と飲む予定なのでこの街で泊まるしかありませんが何日も滞在はしていられませんね。もうここら辺は生存コストが高い。

明日にはアクアライン通って千葉県に避難しましょう。

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