2024-12-31
闘いの時きたれり。いよいよ今回の旅のメインディッシュ「宗谷岬」で年越しを行います。車・バイク・自転車・徒歩、あらゆる手段で全国から人が日本の最北端へ集まってきます。そんなちょっぴり正常ではない人々の饗宴。とてもいい思い出になりました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
大晦日、さらばみどり湯
時刻は7時すぎ。みどり湯はまだまどろみの中。昨日はお客さんも多く客室だけでは入りきらなかったので銭湯のロビーで寝袋出して寝ているお客さんも多いです。お客さん一杯だから泊まれないということは無くこうした対応ができるところもみどり湯の柔軟さを感じますね。融通が利く。
そんな方々を起こさないように静かに外に出ます。本音を言えばまだまだゆっくりしたいところですが今日はそうもいきません。
なぜならきょうは旅の大詰め、大晦日。向かうは日本最北端「宗谷岬」! みどり湯から宗谷岬は片道30kmほどです。夏ならなんて事のない距離ですが冬場はそう簡単に走破できる距離ではないことはもう十分身にしみております。最後まで油断せず参るとしましょう。
相棒もお正月モードで大晦日ライドの準備は万端! それではお世話になりましたみどり湯。またいつか!
朝マックでガソリンチャージ
朝ごはんはマクドナルドで食べると決めておりました。宗谷岬周辺ではもうこんなファーストフードはいただけませんからね。
シートに包まれたドナルドも見納めです。元旦には姿を現すという噂がありますがマジですかね?
カロリーチャージは十分。あとはただ自転車をこぐのみ。
マックを出るとすぐに国道40号線から238号線へ入ります。ここからどんどん建物が減って来きて交通量も落ち着いてきました。
豊富~稚内間の国道40号線がチャリ泣かせの道だったので今日走る道もどうなることかと不安に思っていたのですが、宗谷へ向かう238号線の走りやすいことよ。夏場と遜色ないスピードでスイスイと進むことができました。
最後の補給ポイント、セイコーマート「とみいそ店」
あっという間に20km進んでセイコーマート「とみいそ店」に到着しました。ここで休憩&買い出しを行いますか。年越し宗谷岬に参加する場合稚内側からはこのセイコーマート「とみいそ店」が最後のセコマです。この先にはスーパーもコンビニも無いので年末年始の食料はここで揃いきっておかなくてはなりません。明日にはまた稚内市街地へ戻りますが多分到着は昼になるので元旦の朝食までは用意しておかなければ。
というわけでこの荷物です。バッグに入りきらないくらい買いました。一晩の宴に耐えられるくらいの準備はできたでしょう。夜が楽しみです( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
買い物が終わったタイミングで同じ自転車年越し宗谷勢のふしさんとエンカウント。
戦いの日。この道はもう同じ目的地に向かう同志しか通りません。
— ふし (@nkey_khack) December 31, 2024
通りかかる方々と無言のガッツポーズをし合い、団結を感じます。
順調でした。
自転車 年越し宗谷 pic.twitter.com/3We1gYe6oh
私のようなMTBやクロスバイク系ではないれっきとしたツーリング車。赤いボディが雪国に映えますねぇ。
お話もそこそこにセコマでいったんお別れ。また宗谷岬で語らいましょう( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
セコマを出てすぐの青看板には「宗谷岬10km」の文字。この道のコンディションなら一時間足らずで着きそうです。
宗谷丘陵、懐かしい響き……。国道238号線から宗谷丘陵に続く小路は「白い道」として有名で、稚内の名産であるホタテの貝殻が敷き詰められた実に美しい道なのです。日本一周で宗谷に来た時はその白い道を行きましたね。
まあ今の時期の北海道はほとんどが白い道なので今回は通りませんが。
到着!冬の日本最北端「宗谷岬」
無心で走っていると多くの車が駐車しているポイントが見えてきました。あれはもしかしなくとも……
宗谷岬に決まっていますよねえ!!!
という事で人生二度目の宗谷岬へ到着です! しかも今回は冬。無事について一安心しました( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
思ったよりもかなり早く着いて現時刻10:40
それなのにもうこれだけ車が停まっています。車中泊で前泊する人も相当いる見たいですね。まあ自転車であれば駐車場争奪戦とはほとんど無縁ですが。
ここでモシリパでお会いした徒歩勢のTさんと再会です。モシリパからの30kmをよくぞ……しかもその道のりを昨日一日で踏破したというから脱帽です。
少しお話しした後、また後で会う約束をしていったん解散。まずはテント場を確保しなくてはいけませんからね。
テント場もこれだけ人が多いといい場所もほとんど取られてしまっているのでしょうか……?「大晦日の少なくとも午前中には来ないといいテント場はなくなる」と聞いているので少し不安です。
いや全然余裕で場所ありますね。積もっている雪をかき出せば全く問題ありません。
20分程度の雪かきでテント場を確保。後ろは雪、前方はテントでむしろいい場所にテントが晴れて良かったです。
少し恥ずかしかったのが隣のお爺ちゃんたちから「がんばれ〜!(੭ु *`∀´* )੭ु」と応援されながら雪かきすることになったこと。これまでの雪に完全に沈んだ公園での整地を思えば宗谷での幕営はお遊びのようなものなので、歩いているだけで応援される赤ちゃんのようで恥ずかしかったです。゚(゚^ω^゚)゚。
他にも、がっつり雪かきして整地していたら他の親切なお兄さんから「スコップ貸してあげようか?」と言われたのもビックリしました。
そのお兄さんのスコップというのが雪国の日常生活で使う幅広のスコップで、そちらの方が多くの雪をすくえると思って提案してくれたようです。ただそのスコップの材質がプラスチックという展開。ガッツリ締まった雪をブロック状に切り出して雪かきしていたのでたぶん借りたら一撃で破壊してしまうと思って遠慮しました。
これらのことから、もしかしたら年越し宗谷“だけ”をやる方の言う「いい場所」は整地の手間なく風を凌げるところを言うのかもしれません。金属製のスノーショベルを持ってきている方であれば場所はいくらでも作れるなと感じました。
最近は、吹雪にさらされながら野宿を繰り返して人力で稚内にたどり着くような冒険者とばかり絡んでいたので感覚がマヒしていましたが、多くの人にとって「年越し宗谷岬はイベントであって冒険ではない」んですよね。雪山装備で来る人は多少遅れて宗谷岬に着いたとしてもどうとでも対応できると思います。
テントの設営が終わったらようやく自由時間。まずは最北端モニュメントの前でここまでの旅路を共にした相棒と写真を撮ります。
ほこからさん到着です😗 pic.twitter.com/tQAi3bv9kK
— トマティングトマト (@Yx_Tomato_xY) December 31, 2024
トマトさんはじめ何人かチャリダーと一緒に写真を撮りました。自転車勢は両手で数える程度かと思っていましたがかなりの数が来そうな雰囲気があります。大学の部活で来ているグループが何校かいる用なんですよね。冬の活動が年越し宗谷とは青春ですねぇ。真冬の青春よ。
その後も続々やってくる自転車勢。すれ違いざまに軽く話して健闘を称えるのを繰り返しながらわちゃわちゃと楽しみます。
宗谷散策
お昼過ぎた頃に一旦単独行動。宗谷を散策です。
テント場はまだ張る余地、全然あります。
波打ち際を行き潮風を感じるなど。
最前列のテントは中々に風を受けそうですね。その分特等席であることは間違いありません。
北の彼方にはうっすらサハリンも確認できます。
宗谷岬のトレードマークでもある青いお土産屋さん。
ここの表示を信じるのであればいまは-2.7℃とのこと。だいぶ暖かいですね。風がある分さすがに表示温度よりは冷えますが-20℃なんかを体験してきた後だと安心感を覚える気温です。どうかこのまま元旦まで頼みます。
自販機もあるので温かい飲み物を得るのに苦労はなさそうですね。あと「日本最北端の」の枕詞は稚内の名物でもありますが、それもさらに突端の宗谷岬ともなると自販機にまで最北端アピールがついてほほえましいです。
道路に出て東側の青看板を見ると「網走295km」の表示が。懐かしい。今回はそちら側に行くことは人だなと思うと少し寂しい気持ちになったりします。
モニュメント前は記念撮影のライダーたちで常に列ができています。にぎやかになってきました。
反対車線側はどうなっているのでしょうか。
日本最北の神社「宗谷岬神社」
こちら側には日本最北の神社「宗谷岬神社」がありました。ここで宗谷岬で年越しをしたらすぐここで初詣ができますね。
年越し宗谷岬のキッチンカーたち
今は閉まっていますがキッチンカーもありました。また日が暮れた頃に開店するようです。
面白かったのが蕎麦屋さんとなっているバス。さっきのセコマで年越しそば買ってしまったんですけど、こんなのがあると知っていたら買っていませんでしたね。゚(゚^ω^゚)゚。
宗谷岬展望台
開いていたら風をしのごうかと思っていた宗谷岬展望台は閉鎖中。残念。
宗谷岬公園
せっかくですから丘の上まで登って宗谷岬公園をみていきますか。
ド曇天。空も大地も白しかありません。
色んな都市を指す標識。東京までは1000kmほどもあるんですね。「それくらいの距離しか離れてないんだ」という気持ちです。感覚がバグっている。
夏はこの建物の裏にシカがわらわらといましたね。
大岬旧海軍望楼に登って宗谷岬を見下ろしてみますか。
車やバイクがアリの行列の如く。こうみるとまだまだスペースがあるように見えますがモニュメント周りはロープが張ってあって入れないのでもうけっこうギチギチです。
一通り散策を終えて自転車のところに戻るとXのフォロワーさんが私を訪ねてきてくださいました。
初めての
— 亀の移住生活者🐢 (@turtle_kyusei) December 31, 2024
#年越し宗谷岬
バイクもチャリも
いっぱい!!
賑わってます✨🚌💨 pic.twitter.com/fSsb4JS3UU
フォロワーの亀さんからお酒とチョコレートの差し入れ!
わざわざ寒い中ありがとうございますm(__)m
亀さんは北海道への移住者で、今回初めて宗谷岬で年越しを迎えるようです。ここでお互い最高の新年を迎えましょう( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
日暮れ、宴の始まり
さあ時刻も16時を過ぎいよいよ日没。普段であれば食事を済ませ完全に日が暮れたらテントに籠って寝るだけですが……今日は年に一度の大晦日。それも日本の最北端「宗谷岬」でというメモリアルな日です。夜はこれからですよ( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
他の方々も大人しく成るどころかこれからどんどんボルテージが上がっていきます。テント場からは湯気が上がり各々火を囲んで食事を楽しんでいるようです。
私も宗谷岬人力勢と集合して岬の一角で宴を開始。
セコマで大量に買い込んできましたからね。ブツは沢山ありますよ( •̀ᴗ•́ )
大晦日もサッポロクラシックは外せません。
大はしゃぎですがまだ17時なんですよね。年越しをするということは当然0時まで起きているということなのであまり飛ばすと食料も体力ももちませんからある程度セーブしなくては。
そんな自制も緩む楽しさです。
フランスからきたSさんがワインを開けてくれて
ホットワインを振舞ってくださったり
かまくら作ってるグループを見学させてもらったり
かまくらすごく面白そう。一度はかまくら泊をしてみたかったですね。
他にも、私が雪にスマホ落として充電ケーブル差込口を濡らして充電できなくなったので、
Tさんのたらとばに入っていた脱酸素剤をもらってスマホと一緒に密封して乾かしたり(これは宴とは関係ない)
イベント尽くしです(੭ु *`∀´* )੭ु
年越し宗谷岬名物の炊き出し
ありがたかったのが有志の方が行っている炊き出しです。呼びかけがあったので各々自分の器をもって列に並ぶと
スッ……
お汁粉 or コーンスープがもらえます( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
あったけぇ……ありがてぇ……。
みなさん各々で食事を終えた後だからか甘味のお汁粉が人気でコーンスープの注文が全く入っていなかったんですけど、Tさんが最初のコーンスープをオーダーすると「コーンスープ頂きましたアアア!!!」と歓声が上がって笑ってしまいました。
お汁粉やコーンスープがというのもありますけどなんか「あったかい」ですよね。この炊き出しの精神もそうですし、それを笑顔で受け取る年越し参加者たちも。良い時間だなって思います。
チャリダー大集合
21時にモニュメントの前で自転車組の集合写真撮りたいと思いますので愛車持参で集合お願いします!🚲
— トマティングトマト (@Yx_Tomato_xY) December 31, 2024
(周りの自転車の方に広めていただけると助かります🙏)#年越し宗谷岬#自転車 pic.twitter.com/8wr90xziZP
21時になるとトマトさんが音頭をとって宗谷岬に来たチャリダー全員での記念撮影が開かれました。
総勢40人ほどでしょうか。各々が自転車を持ち込んでモニュメント前に並べます。
集まったらパシャリ。壮観ですね。これだけの人数のチャリダーが大晦日の宗谷岬に集まっているなんて。大変いい思い出になりました。企画してくださったトマトさんありがとうございます。
そしてカメラマンを務めてくれたTさんにも感謝を。ありがとうございました。直前でTさんにお願いして私のカメラで撮って頂いたんですよね( ⑉¯ ꇴ ¯⑉ )
いよいよ年越し、カウントダウン!
そんなこんなでワイワイ過ごしていると先は長いと思われた年越しの瞬間はもうすぐそこ。23:45ごろからみんなぞろぞろとモニュメント前に集まっていきます。
年末のカウントダウンが行われ、年越しの瞬間に花火が上がるそうです。ぜひ見届けなければね。
いよいよ年越しかと思うとそのカウントダウンまでのほんの数分が長く感じます。風を遮るもののない中立って待っているというのも待つのが辛い要因の一つですね。あと流石にもうねむい つД`)
我慢して待っているとようやくカウントダウン開始。3、2、1、ときて――
ゼロ!
あけましておめでとうございます!
年が明けた……宗谷岬で。
なんだかとても不思議な気持ちです。そりゃ日本の最北端で年越しをするなんて稀有な体験、誰であっても感じ入るものはあるでしょうが、この不思議な気持ちは私の体験によるところが非常に大きい気がします。
中学の頃だったかその辺の時の年越しの記憶なんですけど、家の中でテレビ見ながら過ごしていたんですよね。そのときテレビに映っていたのが今の私たちのような屋外で年越しをする人たちの姿だったんですよ。
まさかドンピシャで宗谷岬の取材だったとは思いませんが、とにかく屋外で白い息吐きながら寒そうに年越しの瞬間を迎えている人たちの映像を見て当時の私は思ったんです。
「ああ、こんなことを面白いと思う感性を持っていなくて本当に良かった」
ってね。そのおかげで温かい部屋の中でぬくぬくと年越しを迎えられる。朝になったらお年玉でなんのゲーム買おうかななんて思っていて、一生そういう価値観で生きるんだと思っていました。それがまさか……
今度は私が北の果てで年越しをする側になるなんて。この年越しだけではありません。新卒で勤めた会社を辞めて自転車で日本一周。百名山巡りの旅は王手の99座。そしてこれからは――
あまりにも違う子どもの頃の自分の記憶を思い出して不思議な気持ちになりました。今度は今の感性が10年後20年後も同じか要チェックですね。変わるのか、強調されているのか。変化について思いを馳せる年越しとなりました。よし
寝よう!!!
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